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輸入を始める前に知っておきたい関税や輸入消費税のこと

20.06.12 | 【税務】

日本では多くの資源を海外からの輸入に頼っています。しかし、国内で資材や商品を購入するのに比べ、海外からの輸入はさまざまな手続きや税金が必要になります。
そこで今回は、輸入にまつわる税金のあれこれについて説明していきます。

日本では多くの資源を海外からの輸入に頼っています。また、社会のグローバル化に伴い、今後は各企業でも輸入の機会が増えてくると思われます。 
しかし、国内で資材や商品を購入するのに比べ、海外からの輸入はさまざまな手続きや税金が必要になります。 
輸入品にかかる関税も種類が多く、商品によって納める税金も変わってきます。
また、輸入品には輸入消費税という税金も発生します。 
そこで今回は、輸入にまつわる税金のあれこれについて説明していきます。

輸入するための手順とは?

海外から資材や商品を輸入する際は、どんな手順が必要なのかを見ていきましょう。
まずは海外の業者と連絡を取り、輸入したい物品を注文します。
海外の業者からは、物品を送る際に必要な税関への申告や検査で必要となる貿易書類、いわゆる『インボイス』と『パッキングリスト』(以下(インボイス等))が送られてきます。
このインボイス等は明細書や納品書としての役割を果たすもので、国によって形式や枚数が異なるので注意してください。
インボイス等が送られてきた後、いよいよ注文した物品が日本に到着します。 しかし、すぐに物品を受け取れるわけではありません。 日本に到着した物品は、輸入の許可を受けるまでは外国貨物のため引き取りが出来ず、いったん、保税地域に預けられます。
注文者は、税関に必要書類を提出して『輸入申告』を行い、その後、税関にて物品の審査や検査を経て提示される関税や消費税などの税金を納めます。
一連の手続きに問題がなければ、輸入の許可がおり、輸入した物品を保税地域から引き取れるというわけです。
輸入は国内で物品を購入するよりも、手間がかかるので、手続きなどを代行してくれる輸入代行業者に依頼してしまうのも方法の一つ。 その場合は、関税や消費税、海上保険料・運賃等は輸入代行業者が立て替えてくれる場合が多く、その場合追って税金と運賃等を物品の代金を合わせた額を輸入代行業者に支払うこととなります。

関税と輸入消費税とは?

関税には不当廉売関税や相殺関税など、さまざまな種類がありますが、ここでは、最も一般的な通常の関税に関してのみ、説明します。 そもそも関税は、物品の取引価額海外での卸値に海上保険料と運賃等を足した額にかかります。
この取引価額と保険料と運賃等を足したものを『CIF価格』といいます。
CIF価格に、税関が定めている関税率をかけた額が関税となるわけです。
関税率は、税関のサイトで『実行関税率表』として公開されているので、チェックしてみてください。
輸入する際は、この関税に加えて、さらに輸入消費税がかかります。
ちなみに、輸入品にはお酒やたばこは、それぞれ関税のほかに酒税やたばこ税がかかりますし、資源エネルギーには、揮発油税、石油ガス税、石油石炭税などが発生します。
通常、日本の消費税は日本国内で売買又はサービスの提供において消費するものに発生しますが、輸入品に関しても、日本国内で消費されるものであることから、輸入消費税という消費税が課税されます。
輸入消費税はCIF価格に関税を足した金額に消費税率をかけて計算します。
輸入消費税の税率は、通常の消費税と同じ10%なのですが、その内訳は国税分が7.8%、地方税分が2.2%となっており、それぞれ分けて計算しなければなりません。 軽減税率の対象品の場合は、国税分が6.24%、地方税分が1.76%になります。
たとえば、軽減税率の対象ではない、CIF価格が30万円の物品で関税が5%のものを海外から輸入したとします。 この場合、関税も輸入消費税もこの30万円に関してかかってきます。 関税はCIF価格に5%を乗じた15,000円がかかります。
輸入消費税は一律なので、CIF価格と関税を足した金額に消費税を乗じ、国税分が2万4,500円(百円未満切捨)、地方税分が6,900円(百円未満切捨)発生します。
つまり、税関には、関税15,000円のほかに、合計31,400円の輸入消費税を納付することになるわけです。
さらに、決算の際は、消費税申告の際の計算をわかりやすくするために、税抜経理をしている場合には、輸入消費税(国税分)、輸入消費税(地方税分)の勘定科目を分けて入力します。どちらも、勘定科目は『仮払消費税』で入力し、関税の勘定科目は『仕入高』や『租税公課』等を使用します。とします。 決算の面でも手間のかかる輸入品ですが、CIF価格が1万円以下のものは関税や輸入消費税が免除されます(ただし、免税対象外の商品もあります)。また、1万円以下ではなかったとしても、商品券や有価証券、車椅子や安全つえ、教科用図書などの一部の物品は法令により非課税のため、輸入消費税が課せられません。 また、関税に関しても、全ての輸入品にかかるものではなく、無税の物品も存在します。 一口に関税や輸入消費税といっても、ケースによってさまざまです。輸入ビジネスへの参入を検討している場合、始める前に、まずは輸入している物品の関税率や、現地での取引価額卸値をチェックするところからスタートしてみてはいかがでしょうか。

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