村川博之会計事務所

村川博之会計事務所

覚えておきたい消費者の購買行動モデル『AIDMA』と『AISAS』

20.07.28 | ビジネス【マーケティング】

マーケティングの世界においては、顧客がどのように商品を知り、どんなプロセスを経て購入に至ったのかを知るための『購買行動モデル』というものがあります。
その種類はさまざまですが、そのなかでも『AIDMA』と『AISAS』という購買行動モデルが多くの企業に使われています。
今回は、代表的なその二つを用いて、マーケティングの基本ともいえる『購買行動モデル』について説明していきます。

購買行動モデルの基礎となる『AIDMA』

購買行動モデルとは、消費者が商品を知り、店舗へ行き、商品を購入するまでのプロセスをモデル化したもので、その概念は1920年代ごろに誕生しました。
この購買行動モデルは、多くの企業で取り入れられ、マーケティング戦略を立てる際の要とされてきました。

そもそもマーケティングの世界では、なぜ購買行動モデルが重要視されているのでしょうか。

企業は利益を上げるために、ユーザーに商品を買ってもらわなければなりません。
商品を買ってもらうためには、消費者が求める良質な商品を提供していく必要があります。
また、商品を知ってもらうための広告展開も大切です。
しかし、消費者が望む商品や、商品を知ってもらうための広告は、消費者の行動を把握していなければ、適切なタイミングで提供することができません。
そこで、消費者の行動を把握するための購買行動モデルが誕生しました。

最初に考えられた購買行動モデルは『AIDMA(アイドマ)』と呼ばれるものです。

『AIDMA』は1924年にアメリカの作家であるサミュエル・ローランド・ホールが、著書の『小売業の広告と販売』の中で提唱した概念で、『Attention(認知・注意)』『Interest(興味・関心)』『Desire(欲求)』『Memory(記憶)』『Action(行動)』という五つの行動プロセスの頭文字からなります。

この時代の消費者の行動は、まず、商品を認知した後、関心を持ち、“欲しい”という欲求が湧き上がった結果、商品を記憶し、最終的に商品を購入するというのが一般的でした。
企業は、ユーザーが『Attention(認知・注意)』の段階にいるのであれば、CMや広告で自社商品を知ってもらわなければなりませんし、『Interest(興味・関心)』の段階にいるのであれば、商品を訴求し、興味を引くようなPRが必要になってきます。
各企業は、自社のユーザーの状態をAIDMAと照らし合わせることで、ユーザーにどんなアプローチをすればよいのかという方法論を手にできるようになりました。

この行動をモデル化したAIDMAは、現在も購買行動モデルの基礎とされ、多くの企業で使われています。


時代の変化に沿った購買行動モデル

しかし、時代の変化にともない、これまでの新聞やテレビ、雑誌などのマスメディアが全盛だった時代に通用していたAIDMAが通用しなくなってきました。
インターネットが世界に広がり、新たにネットメディアが台頭したことにより、消費者の購買行動が変わってきたのです。

インターネットが一般化することによって、これまで商品にまつわる情報を企業側から与えられるだけだった消費者が、積極的に自ら情報を取りに行くことができるようになりました。
そればかりか、SNSの普及により、今度は消費者自らが情報を発信できるようにもなりました。

こうなると、従来のAIDMAだけではない、新しい購買行動モデルが必要になってきます。

そこで、2004年に大手広告代理店の株式会社電通が提唱したのが『AISAS(アイサス)』です。
AISASは、『Attention(認知・注意)』『Interest(興味・関心)』『Search(検索)』『Action(行動』『Share(共有)』の五つの頭文字を取ったもので、AIDMAと同じ『Attention(認知・注意)』『Interest(興味・関心)』に、インターネットによる検索や共有の行動プロセスが加わりました。
商品を調べるときの検索や、商品を購入後のSNSなどによる情報の共有を戦略に取り込んだAISASは、ネット社会に適した購買行動モデルとして、現在、多くの企業のマーケティングに取り入れられています。

購買行動モデルには、ほかにも、コンテンツマーケティング時代の購買行動モデルとして提唱された『DECAX(デキャックス)』や、ソーシャルメディアマーケティングにおける消費者の購買行動モデルを表した『SIPS(シップス)』など、時代のニーズにあわせて新しいモデルも生まれてきています。
まずは、自社がターゲットとするユーザーがどの段階にいるのかを把握するために、基本となるAIDMAやAISASをマーケティングに導入してみてはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2020年7月現在の法令・情報等に基づいています。

TOPへ