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新型コロナの影響下における納税の猶予制度とは?

20.08.03 | 【税務】

世界中にパンデミックを引き起こした新型コロナウイルスにより、国内経済は甚大な打撃を受けました。 
期限内の納税がむずかしい場合に利用できる制度として、従来からある『納税の猶予』に加えて、『納税の猶予の特例(特例猶予)』という新たな制度も創設されました。 
そこで今回は、新型コロナウイルスの影響を受けた企業に対する納税の猶予制度について説明します。

世界中にパンデミックを引き起こした新型コロナウイルスにより、国内経済は甚大な打撃を受けました。
政府は収入が減った企業や個人事業主に対して、緊急の貸付や給付金の支給、各種助成金制度の創設など、さまざまな施策を打ち出しています。
期限内の納税がむずかしい場合に利用できる制度として、従来からある『納税の猶予』に加えて、『納税の猶予の特例(特例猶予)』という新たな制度も創設されました。
そこで今回は、新型コロナウイルスの影響を受けた企業に対する納税の猶予制度について説明します。

<納税が困難なら『納税の猶予』の利用検討を>
2020月4月、新型コロナウイルスの感染拡大にともなう緊急事態宣言が発令され、店舗を休業、あるいは事業所を閉鎖せざるを得ず、大きな損失が生じた企業や個人事業主は少なくありません。
さらに、休業や取引の減少が原因で倒産するケースも出てきており、事態は深刻です。
社会全体の経済的損失は計り知れず、2008年のリーマンショック時を上回るともいわれています。

この状況下、期限内に税金を納めることがむずかしいという企業も多くあるでしょう。
そのような場合に利用できるのが、政府が用意している『納税の猶予』制度です。
これは、以下の要件に該当する場合に所轄の税務署に申請すれば、原則として1年間、納税の猶予が認められるという制度です。

●一時の納税により、事業の継続・生活維持が困難となるなおそれがある
●納税について誠実な意思がある
●納期限から66か月以内に申請がある
●猶予を受けようとする国税以外に滞納がない

猶予の対象となるのは、印紙税などを除くほとんどすべての国税です。法人であれば、法人税や所得税なども含みます。
猶予中には延滞税が加算されますが、通常は年8.9%の割合で加算されるところを、年1.6%の割合に軽減されます。
また、滞納による財産の差し押さえや、売却も猶予されます。

従来であれば、猶予を受けるためには担保の提供が必要となる場合がありましたが、新型コロナウイルスの影響により納税が困難な場合は、明らかに担保を提供できる状況でない限り、不要としています。

<さらに有利な『納税の猶予の特例』とは?>
さらに政府は、新型コロナウイルスによる影響を考慮して、より有利な措置となる『納税の猶予の特例(特例猶予)』を創設しました。
これにより、2020年2月1日から2021年1月31日までに納期限が到来する法人税、消費税、所得税などほぼすべての国税について、以下の要件に該当する場合、納期限から1年間、無担保かつ延滞税なしで納税の猶予が認められます。

●新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年2月以降の任意の期間(1カ月以上)において、事業等に係るの収入が前年同期比較でおおむね20%以上減少している
●国税を一時に納税納付することができない困難

特例猶予は納期限までに申請する必要があります。
ただし、2020年66月30日までの措置として、対象期間の国税であれば、すでに納期限が過ぎている未納の国税(猶予中のものも含む)についても、遡って特例を適用することができます。

なお、本人が新型コロナウイルスに感染した場合など、個別の事情がある場合は、国税通則法第46条によって、上記の要件を満たしていなくても猶予が認められる場合があります。
個別の事情がある場合は税務署に相談してみるとよいでしょう。

納税の猶予制度は自動的に適用されることはないため、必ず期限までに申請する必要があります。
申請書類は国税庁のホームページでダウンロードできるほか、所轄の税務署で案内を受けることも可能です。
やむを得ない事情で期限が守れない場合については、税務署で個別に判断されますので、まずは相談してみましょう。
不明点や相談事があれば、電話による相談窓口として、国税局猶予相談センターも用意されています。

国税庁では、状況に応じてさらに1年間の猶予も視野に入れていることを発表しています。
新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい経営が続くなか、財務が切迫しているならば、猶予制度を利用するメリットは大きいでしょう。
国税を納付することによって事業の継続が困難になる場合は、制度の利用を検討してみてはいかがでしょうか。

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