消費税の簡易課税制度について
20.08.17 | 事務所通信
こんにちは、マクシブ総合会計事務所です。
梅雨が明けてから本格的に夏となり、マスクを着ける日々は暑さに拍車をかけて大変ですがどうにか乗り越えていきたいですね。
本日は消費税の簡易課税制度についてご説明します。
消費税の簡易課税制度は課税売上高が5,000万円以下の事業者が適用することのできる制度ですが、この制度の概要やどういった方が選択されると良いのか、といったことについてご説明していきたいと思います。
簡易課税制度の概要
通常、事業者が納付する消費税の額は「課税売上げに係る消費税額-課税仕入れ等に係る消費税額」から計算します。これは簡単にいうと、
売上で預かった消費税から、仕入等の各種費用で支払った消費税を差し引いて差額分を納付するということです。
そのため、通常の事業者では売上で受け取った消費税額と、各種費用で支払った消費税額を計算する必要があります。
しかし、課税売上高(消費税が発生する売上高ことを指し、海外への輸出等は除きます)が5,000万円以下の事業者については事務負担の軽減を目的に、
支払った消費税額を課税売上高に応じてみなしで計算することができます。これが簡易課税制度となります。
消費税額の計算方法
次に、具体的な消費税額の計算方法についてご説明しますが、簡易課税制度では先述した売上に応じてみなしで支払ったとする消費税額が業種ごとに異なります。
卸売業や小売業、製造業等でそれぞれみなし仕入率が異なり、第一種事業から第六種事業まで6種類に分けられます。
これは業種によって課税の対象となる費用の割合が変わってくるからです。
例えば、商品を仕入れて販売する小売業者よりもソフトウェアの開発を行う事業者の方が、各種費用の中で消費税の課税されない経費(給与等)の割合が大きくなるといったようなことです。
以下に、簡易課税制度を適用した場合の税額の計算例も記載します。
《課税売上高2,000万円の卸売業の場合》
受け取った消費税額は、2,000万円の10%で200万円。
支払った消費税額は、卸売業のみなし仕入率90%を適用して180万円。
納付する消費税額は、差引20万円となります。
ちなみに業種ごとの [みなし仕入率] は下記のようになります。
・第一種事業(卸売業) 90%
・第二種事業(小売業) 80%
・第三種事業(製造業等) 70%
・第四種事業(その他の事業)60%
・第五種事業(サービス業等)50%
・第六種事業(不動産業) 40%
どのような事業者の方々がメリットを受けるか
どのような事業者の方々がメリットを受けるかというと、
事業において消費税が課税される仕入が少なく、みなし仕入率を適用した方が支払った消費税額が多くなる事業者となります。
例えば、経費の大半が従業員の方々への給与となっているような場合には、給与には消費税がかからないため、給与や賞与の支払いがいくら増えても消費税の納税額は減りません。
しかし簡易課税制度を適用すれば、実際の消費税の支払いが殆どなくとも、みなし仕入率まで消費税の支払いが上乗せされます。
この場合には、通常の消費税額の計算方法に比べて消費税の納税額が少なくなるため、簡易課税制度を適用した方が有利となります。
また、元々の趣旨より記録の手間が減ることで事務負担の軽減も図られるため、経理担当者の方が不在であったり、いたとしても詳しい知識をもっていない場合にもメリットがあります。
制度適用の留意点
この制度で留意してもらいたい点として、
税額の計算においては経費の大半が消費税のかかる費用の場合には、この制度は適用しない方が有利となる可能性が高いことです。
特に高額な設備投資がある場合には注意が必要です。
みなし仕入率の適用については、1種類の事業のみを営む場合でご説明しましたが、2種類以上の事業を営み、第1種から6種までの複数に該当する場合には、計算方法が変わってきますので留意が必要です。
また簡易課税制度を適用したい場合には、適用する期の前の期末までに
税務署へ「消費税簡易課税制度選択届出書」という書類を提出する必要があります。
(参照先:国税庁HP)
そして一度簡易課税制度を適用した場合には、原則2年間は今までの課税方法に戻すことはできません。
なお、売上が5,000万円を超える場合には、その期は簡易課税制度が適用されませんが、売上が再度5,000万円以下となった場合には、簡易課税制度で税額を計算することとなります。
簡易課税制度の適用を完全に辞めたい場合には、前期末までに「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」という書類の提出をします。
最後に…
いかがだったでしょうか。
消費税は、法人税等に比べて金額が大きくなりがちで、有利な制度を適用するかどうかで納税額が大きく変わる可能性があります。
今回ご説明した簡易課税制度に関しても、必ずしも適用すれば有利となるとは限らず、しっかりと確認と検討が必要となります。
マクシブ総合会計事務所では、中小企業様の経理業務や記帳を代行しています。
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