マクシブ総合会計事務所

消費税の簡易課税制度について

20.09.04 | 事務所通信

こんにちは、マクシブ総合会計事務所です。

お盆を過ぎてもまだまだ残暑が厳しく、マスクを着ける日々は暑さに拍車をかけて大変ですがどうにか乗り越えていきたいですね。

本日は、消費税の簡易課税制度 についてご説明します。
この制度の概要やメリット、留意点について解説しますので、消費税の課税事業者となっている企業様は是非参考にしてみてください。

簡易課税制度の概要


事業者が納付する消費税の額は
「課税売上げに係る消費税額 - 課税仕入れ等に係る消費税額」
として計算します。
簡単にいうと、売上で預かった消費税から経費で支払った消費税(以下、「仕入控除税額」といいます)を差し引いて差額分を納付するということです。

消費税の申告ではこの仕入控除税額を個々に把握・集計するのが原則となりますが、前々事業年度の課税売上高(消費税が発生する売上高を指し、輸出も含みます)が5,000万円以下の課税事業者については、事務負担の軽減を目的に、仕入控除税額を「課税売上げに係る消費税額」に「みなし仕入率」を乗じて計算することが認められています。
これが簡易課税制度です。

消費税額の計算方法


簡易課税制度における、みなし仕入率は業種ごとに異なります。
具体的には、卸売業、小売業、製造業等、サービス業等、不動産業及びその他の事業の6つに区分し、それぞれの区分ごとにみなし仕入率が決められています。
これは業種によって課税対象となる経費の割合が変わってくるからです。

例えば、商品の卸売業者の方がソフトウェアの開発事業者よりも消費税が課税される経費の割合が大きいためです。

業種ごとの [みなし仕入率] は下記のようになっています。

・第一種事業(卸売業)   90%
・第二種事業(小売業)   80%
・第三種事業(製造業等)  70%
・第四種事業(その他の事業)60%
・第五種事業(サービス業等)50%
・第六種事業(不動産業)  40%

参照:国税庁HP

※2種類以上の事業を営む場合には計算方法が変わってきますので留意が必要です(本稿では詳細は割愛します)。

以下は簡易課税制度を適用した場合の簡単な納税額の計算例です。

課税売上高2,000万円の卸売業の場合、

受け取った消費税額は2,000万円の10%で200万円。
支払った消費税額は卸売業のみなし仕入率90%を適用して180万円。
納付する消費税額は差引20万円となります。

どのような事業者がメリットを受けるか?


まず、制度趣旨の通り経理の事務負担の軽減が図れるため、経理担当者が不在であったり、いたとしても詳しい知識をもっていない場合には簡易課税制度を利用するメリットがあります。
次に、実際の経費で支払った税額よりも、みなし仕入率を使って計算した税額の方が、仕入控除税額が大きくなり、結果として納税額が少なくなる場合があります。

簡易課税制度を適用すれば実際の消費税の支払いがなくとも、みなし仕入率まで仕入控除税額を上乗せできるのです。

ただし、実際に支払った税額からみなし仕入率まで仕入控除税額が減ってしまう場合もありますので注意が必要です。

制度適用のための手続きと留意点


簡易課税制度を適用するには、適用する事業年度の前事業年度末までに税務署に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出する必要があります。
なお、一度簡易課税制度を選択した場合には、2年間は元の原則的な課税方法に戻すことはできません。

また、簡易課税選択届出書が有効であったとしても、前々事業年度の課税売上高が5,000万円を超えた事業年度については簡易課税制度が適用されません

簡易課税制度の適用をやめたい場合には、やはり前事業年度末までに「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出する必要があります。
翌期以降に高額な設備投資が予定されている場合には、簡易課税の適用が不利に働く可能性があるため、「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」の提出を検討すべきといえます。

参照:国税庁HP

最後に…

いかがだったでしょうか。
消費税は簡易課税制度を適用するかどうかで納税額が大きく変わる可能性があるので、事前にしっかりと確認、検討することが必要です。

マクシブ総合会計事務所では、中小企業様の経理業務や記帳を代行しています。
お困りのお客様はぜひ一度ご相談ください!

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