日高税務会計事務所

良い会社を判断する基準とは何でしょう?

21.09.15 | 所長メルマガ

会社(事業)が利益を出す(儲かる)のは当然です。赤字が続けば事業を継続することが出来なくなるからです。どんなに素晴らしい商品やサービスなど価値あるものを提供していても関係ありません。商品が売れなければダメですし、本業が好調でも経営が下手で利益を出せないと資金的に行き詰り、倒産に到ります。だから、利益の多い会社が良い会社かと言えば、そうで無いと思う方も少なくないでしょう。不正で無くても相手の弱みや無知、あるいは社会制度の不備により暴利を上げた会社が素晴らしいとはとても思えません。だから、「会社は何のために利益を出さないといけないのか」についての正しい認識が必要です。特に経営者には。間違うと従業員を混乱させてしまう。

会社は株主から出資を募り経営を行う仕組みだから、株主が第一と言う考えがある。そうすると株主が納得する程度利益を出し、配当を行い、株価が高ければ良いと言うことになる。欧米の企業や上場会社に当てはまる場合が多いだろう。この考えでは、業績が悪くなるとリストラ(従業員の解雇や事業売却)を速やかに行うのが正しいことになる。また、事業を拡大する場合に、M&Aで会社や事業を買収するのも投資や時間の節約を考慮し行われる。とても中小零細企業には真似出来ないことである。
  世の中に「お客様第一」を掲げる会社は多い。顧客が購入しない限り利益を生まないからだ。しかも、会社は客に強制して買わせることは出来ない。もしも何らかの理由で無理に買わせても続かないだろう。また、ライバルも多い。だからお客様に自社商品を選んでもらえるよう商品開発や販売に試行錯誤を繰り返す。これが一番正しい目的のように考えられがちである。しかし、世の中には、安く良い商品サービスを提供し、しかも大きく利益を上げているがブラックな会社もある。長時間労働、サービス残業がある、休日が少ないなど。また、業務量が増えても正社員を増やさず、社保や賞与や退職金のいらない(少ない)非正規雇用社員で賄うなど。さらに、力の弱い立場の仕入先や下請け、外注を叩いて、多くの利益を上げる。これらは良い会社とは言えない。また、事業が起動に乗るまでは「お客様第一」であっても、その後は実質、株主(経営者)第一主義と思える会社も多い。つまり、「お客様第一」は手段として有効との認識だろう。
 ところで、中小零細企業ではライバルや大手に顧客を奪われたくないためか商品の価格を低めにし、ほとんど儲からない状態のところもある。お客様からすれば十分な価値を感じ、もっと支払っても良いと思っているかもしれない。ところが自信が無いためか、低価格だから買ってくれると信じて疑いません。手間暇掛かる個別対応等の仕事は適性な価格設定(当然高額)でなければ利益につながりません。
 経営学者の坂本光司氏は、いい会社の基準として次の5者の幸せを追求・実現する経営でなければならないと述べてあります。(『会社の「偏差値」強く愛される会社のなるための100の指標』あさ出版・・・『日本でいちばん大切にしたい会社がわかる100の指標』朝日新書の改題、改定版)
 第1 社員とその家族 第2 仕入先や協力企業とその家族 第3 現在顧客と未来顧客
 第4 地域住民と社会的弱者 第5 株主および関係機関 
そして、最も重視すべきは 第1の社員とその家族だそうです。その理由は高い社員満足(ES)なくして、高い顧客満足(CS)は あり得ないからだそうです。社員が安心して働ける会社でなければ良い仕事がうまれないからです。また、今の時代一つだけの追求では良い会社とは言えないとのこと。
 この順番(優先順位)に関しては、色々意見があるかも知れませんが、要はバランスを持って偏らずに、経営者自身や内外の仲間(協力者)その他利害関係者をも含め、幸せにするような会社が良い会社と言えるでしょう。「三方よし」などの言葉が日本にあります。理想的な良い会社を目指してみませんか。

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