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社用車のある企業は準備を! アルコールチェックの義務化について
22.06.28 | ビジネス【企業法務】
2022年4月から、改正道路交通法の施行によって、これまで運送事業者の義務だった従業員の酒気帯び確認が、規定の台数を所有する一般企業に対しても義務付けられるようになりました。
また、同年の10月1日からは目視による酒気帯び確認だけではなく、アルコール検知器を用いた確認も義務化されます。
アルコールチェックを怠ると安全運転管理者の業務違反となるため、注意しなければいけません。
今回は、義務化の前にしておきたい準備について説明します。
飲酒運転による交通事故は減りつつあるが…
2007年の飲酒運転および助長行為の厳罰化や、2009年の行政処分の強化などにより、飲酒運転による交通事故は年々減少しています。
飲酒運転による死亡事故件数は、1993年の1,480件をピークに、2021年は152件にまで減りました。
しかし、依然として飲酒運転による悲惨な交通事故は後を絶ちません。
警視庁では、飲酒運転の根絶に向けて取り組みを強化しており、その一環として道路交通法が改正されました。
道路交通法施行規則第9条の8では、一定以上の台数の自動車を所有する事業者は、事業所ごとに安全運転管理者を選任することと定めており、2022年4月1日からは、この安全運転管理者による運転者の運転前後のアルコールチェックが義務化されることになりました。
義務化は2段階で進められ、まず、4月1日には以下の2点が施行。
●運転前後の運転者の状態を目視等で確認することにより、運転者の酒気帯びの有無を確認すること
●酒気帯びの有無について記録し、記録を1年間保存すること
そして、2022年10月1日からは、以下の2点が追加で義務化されます。
●運転者の酒気帯びの有無の確認を、アルコール検知器を用いて行うこと
●アルコール検知器を常時有効に保持すること
つまり、4月の時点ではまだアルコール検知器を使う必要はありませんが、10月1日からはアルコール検知器を用いた運転者の酒気帯びの有無の確認が必要になるというわけです。
これまでも、人や物を運ぶ運送事業者に対して、安全運転管理者によるアルコール検知器を使用したアルコールチェックが義務付けられていました。
今回の法改正によって、社用車や営業車などのいわゆる白ナンバーの自動車を使用する一般企業にも義務化されることになります。
しかし、自動車を有する全ての企業に義務付けられているわけではありません。
安全運転管理者を選任する必要がある『乗車(定員が11人以上の自動車1台以上)』か、もしくは『その他の自動車5台以上(自動二輪車は1台を0.5台として計算)』を所有している事業者に限られます。
どのようなアルコール検知器を購入すればよい?
では、2段階の義務化にむけて、どのような準備からはじめればよいのでしょうか。
新たにアルコールチェックが義務化された事業者は、まず、従業員にアルコールチェックのやり方を周知したり、アルコール検知器を購入したりといった事前準備を行いましょう。
4月1日から義務付けられている目視によるアルコールチェックは、自動車への乗務開始前後に、運転者の顔色、呼気の臭い、応答の声の調子を確認する必要があります。
当然、異変が見られる場合は、運転させてはいけません。
また、これらの状況確認は、安全運転管理者だけではなく、各事業所の管理者も把握しておく必要があります。
そして、10月1日からの義務化に備えて、アルコール検知器も用意します。
アルコール検知器は、アルコール検知器協議会が策定したガイドラインの基準点を満たしているものを、事業所ごとに購入する必要があります。
『酒気帯びの有無について記録し、記録を1年間保存すること』も義務付けられているため、パソコン等に記録できる機能がついたものがおすすめです。
アルコール検知器の値段は、1万円を切るものから5万円以上のものまで、機能やメーカーによってさまざまな種類があります。
事業所の実態や予算に合わせたアルコール検知器を選び、使い方や保管方法なども把握しておきましょう。
従業員にアルコール検知器を使用する場合は、直前の飲食や口腔内の状態などの影響が出ないよう、検査前にうがいをします。
また、検査前は手指の洗浄剤や制汗シートなど、アルコール成分を含むものの使用を控えてもらいましょう。
検知器の使用後は、アルコール成分を含まない水やぬるま湯などで洗浄します。
保管する際も、強いにおい、VOC(揮発性有機化合物)、アルコール成分などが含まれない場所を選んで保管してください。
さらに、アルコール検査を実施するためのマニュアルや、記録シートなども作成しておく必要があります。
世の中のルールに則し、従業員や歩行者の命を守るためにも、飲酒運転の可能性は事業者が責任を持って排除していなかねればなりません。
10月1日の施行に備えて、今からしっかりと準備をしておきましょう。
※本記事の記載内容は、2022年6月現在の法令・情報等に基づいています。
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