桂川会計(桂川淳税理士事務所) 

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エンゲージメントにも効果的な『社史』をつくる

22.08.09 | ビジネス【人的資源】

社史とは会社の歴史を記録した刊行物のことで、一般的には設立20周年や30周年など、節目の年につくられます。
社史をつくる目的はさまざまです。
社員のエンゲージメントの醸成や、対外的なアピールツールとして使われるほか、会社の歩みを示す資料や、社員教育の教材として使用する会社もあります。
多くの目的を持つ社史の編纂(へんさん)は、制作体制をしっかりと構築し、期間も余裕を持って臨まないとよいものは完成しません。
そこで今回は、関係者が思わず読みたくなるような社史のつくり方を説明します。

社史をつくる意味と目的を明確にする

社史といえば、一般的に創業から現在までの会社としての歩みをまとめたものを指しますが、なかには、特定の人物にスポットをあてたり、会社の歴史の一部のみを取り扱ったりするものも存在します。
業種や規模にもよりますが、形態としては書籍の体裁をとっているものが多く、通常は代表者のあいさつや祝辞、会社の軌跡や年表、寄稿、社内資料などで構成されます。

創業から現在までの歩みを取りまとめたものは『通史』と呼ばれ、ある事象や特定の人物にスポットをあてたものは『小史』、社外の人たちによってまとめられたものを『外史』といいます。
また、過去に一度社史をつくっており、その社史を刊行した時点から現在までの歩みを新たにまとめたものは『略史』と呼ばれます。
まずは、どのような種類の社史が自社に適しているのかを判断してから、制作に取りかかりましょう。

社史には、事実や出来事を記録するという役割もあります。
社史をつくる前に、会社がどのような理念のもとで設立され、どのような事業で成長を遂げたのかを明確にしておくことが大切です。
そうして完成する社史は、過去の教訓を経営に活かすという意味で、経営者にとって大切な指針になるでしょう。

そして、社員にとっては、その会社で働くことの意味や価値を考えるきっかけにもなります。
歴史のある会社であればあるほど、社員は自社の歩みを知っておかなければいけません。
扱ってきた商品やビジネスモデルの変遷を知るには、きちんとまとめられた社史が最適です。
会社への理解が深まるということは、社員のエンゲージメントが高まるということでもあります。
会社の記録を残すという目的意識を持って、社史づくりに取り組んでいきましょう。


担当者やスケジュールなどを決める

大企業であれば、社史をつくる専門の社史編纂部を設置しているケースもあります。
しかし、多くの企業は、社史をつくるプロジェクトを一から立ち上げ、制作に携わるメンバーを集めるところから始める必要があります。
社史制作を請け負う制作会社や印刷所に依頼するにしても、会社内の担当者は必要です。

一般的には、総務部や広報宣伝部などが社史編纂を担うことになります。
もしくは立候補制にして、社史編纂に意欲のある社員をリーダーに据えてもよいでしょう。

通常、社史編纂は兼任業務になります。
資料集めなどは時間がかかるため、社史編纂自体のスケジュールは多めに取るようにしましょう
会社規模にもよりますが、通常は1年から2年くらいが目安とされています。

体制やスケジュールのほかにも、社史のコンセプトや編集方針、寄稿の人選など決めることは山ほどあります。
担当者に任せきりにするのではなく、経営者もプロジェクトに参加して指示を出したほうが、スムーズに進むことも多いといえます。

また、どのような媒体や形式にするのかも決めなければいけません。
近年は、書籍タイプだけではなく、写真集のようなフルカラーの社史や、漫画で歴史を紐解くコミック形式の社史、音声と動画で見せる映像タイプの社史など、個性的な社史が増えてきています。
大切なのは、経営者の独りよがりではなく、全社員が納得できる社史をつくることです。
社員が誇れる社史にするためも、しっかりと予算とスケジュールを組んで、制作に取り組んでいきましょう。


※本記事の記載内容は、2022年8月現在の法令・情報等に基づいています。

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