宮田総合法務事務所

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「家族信託」を活用するデメリット・リスクとは

22.10.04 | 暮らし・人生にお役に立つ情報

今回は、「家族信託」を活用するデメリット・リスクについてのお話ですが、結論から申し上げますと、家族信託を活用するデメリット・リスクは、ほぼありません。

従いまして、今回は、家族信託を活用する場合に気を付けるべき3つの「注意点」についてご紹介したいと思います。

注意点1:損益通算ができなくなる

複数の収益物件をお持ちの方が信託契約を複数に分けた場合、年間の収支計算は信託契約ごとに行う必要があり、1つの信託契約から生じた年間の赤字(年間の収支上の損失)は、複数の信託契約をまたいで損益通算をすることはできません。

また、1つの信託契約だとしても、そこから生じた年間の赤字は、信託財産以外からのプラスの所得と損益通算して課税対象の所得を減らすことができません。

さらに、その赤字は翌年への繰越しもできません。

これらの税務的な注意点を踏まえながら、専門家や税理士等にご相談の上、家族信託の設計や実行する時期などを見定める必要があります。


注意点2:税務申告の手間が増す 

資産の一部又は全部を信託財産に入れた場合で、信託財産から年間3万円以上の収入がある場合、受託者は前年の1/1から12/31までの「信託の計算書」「計算書合計表」を翌年の1/31までに所轄の税務署に提出しなければなりません。

ただし、これらの手続きは、毎年の確定申告を税理士さんにお願いしている場合は、税理士さんが合わせてやってくれるケースも多いので、顧問税理士がいる方にとっては、負担は増えないと考えても良いかもしれません。

注意点3:実務に精通した専門家が少ない

家族信託は、医学業界でいうところの“最先端治療”にあたりますので、医者なら誰でも外科手術できるとは限らないのと同様、弁護士・司法書士・税理士等の法律専門職なら誰にでも相談できるという訳ではありません。

中途半端な知識や経験の浅い専門家に相談すれば、十年から十数年と継続する可能性のある財産管理と資産承継の仕組みに関して、税務上や争族上の大きな問題が生じるリスクがあります。
それはあたかも、経験の浅い自信無げな外科医と、経験豊富で質問に対する答えが明確な外科医と、どちらに自分や大切な親の開腹手術を依頼するか、というイメージと同じかもしれません。

最先端の仕組みである家族信託について、きちんとした見識と実務経験が豊富な法律専門職を探し、その方にご相談することが大切です。

もちろん、誰にも相談せずに、書籍やインターネットの情報だけで家族信託を実行しようとするのは絶対に避けるべきです。


以上、今回は、家族信託の3つの注意点についてご紹介しました。

★さらに詳しく「家族信託」 を知りたい方は、下記の2つ記事もご参考になさって下さい↓↓↓

(1)『家族信託の5つのメリットと7つの注意点 
    ※ 損益通算禁止に関する詳細もご説明しております

(2)『家族信託を実行する際の注意点・リスク・デメリットとは




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