宮田総合法務事務所

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「相続人廃除」とは? 対象者や要件を解説

22.12.07 | 暮らし・人生にお役に立つ情報

皆さんの中には、様々な理由から特定の相続人へ自分の財産をあげたくないと考える方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そのようなお悩みは、相続人の廃除(はいじょ)を活用することで解決できる可能性が高いです。

そこで今回は、相続人廃除とは何なのか、手続きをするための要件も併せて簡単に解説します。

≪相続人廃除とは?≫

「相続人廃除」とは、遺留分を有している相続人から相続人としての地位(権利)をはく奪する制度のことです(民法第892条)。
「遺留分を有する」相続人に限定しているのは、遺留分の無い兄弟姉妹や甥姪であれば、単に財産を渡さない内容の遺言書を書くだけで目的を果たせるからです。
相続人廃除をされた人は相続権を失い(最初から相続人ではなかったことになり)、遺産を一切引き継ぐことができなくなるだけでなく、遺留分も認められなくなります。
ただし、誰でも自由に相続の対象から外すことができるわけではなく、家庭裁判所に対し相続人廃除の申立てができるのは「被相続人」のみです。
また、申立て手続きは、被相続人が生存中にするか、被相続人の遺言に基づいて遺言執行者がするかの2つしかありません。


≪相続人廃除の要件≫

相続人廃除をするためには、対象者が要件を満たしていることを家庭裁判所で認めてもらわなければなりません。そのため、たとえ被相続人の意志に基づいていたとしても、単に「気にくわないから」「嫌いだから」という理由では家庭裁判所で相続人廃除が認めてもらえないのです。
あくまで相続人廃除が認められるのは、被相続人に不利益を与えた場合や、被相続人を著しく不快にさせた場合である必要があります。
そして、被相続人に不利益を与えた場合や、被相続人を著しく不快にさせた場合に該当する具体例は下記の通りです。

●被相続人が相続人から肉体的・精神的な「虐待」(家庭内暴力)を受けていた場合
●被相続人が相続人から日常的に「侮辱」を受けていた場合
●相続人が被相続人の財産を勝手に管理・処分(預金の使い込み)をしていた場合
●相続人が過去に大きな犯罪を犯したことがある場合



以上、今回は相続人廃除とは何なのか、手続きをするための要件も併せて簡単に解説しました。

相続人廃除をするためには家庭裁判所で手続きを認めてもらう必要がありますが、家庭裁判所はかなり慎重に相続人廃除の審議をするので、相続人廃除を認めてもらえないケースも少なくありません。

遺産相続の問題を適切に解決していくためにも、お困りの際は一度当事務所にご相談ください。


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