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不倫は法律違反? 『不貞行為』に該当するケースとは?

23.04.25 | ビジネス【法律豆知識】

不倫のことを、法的には『不貞行為』と呼びます。
不貞行為は犯罪ではないため刑事罰を受けることはありません。
しかし、民法上は不法行為とされ、損害賠償請求に発展することもあります。
慰謝料は損賠賠償の一つであり、その額はさまざまな要因によって変化しますが、場合によっては500万円以上もの慰謝料を請求するケースもあるようです。
もし、自分の配偶者が不貞行為をしていた場合はどのように対処すればいいのでしょうか。
不貞行為の法的な責任について説明します。

どこからが不倫? 不貞行為の定義を知る

不貞行為は、「既婚者が自由な意思に基づき、配偶者以外の者と性的な関係を持つこと」と理解されています。
既婚者による配偶者以外との性的行為のみが不貞行為に該当し、既婚者ではない人によるものは不貞行為には該当しません。
しかし、既婚者でなくてもすでにパートナーと婚約していたり、内縁関係にあったりすれば、不貞行為と認められる場合があります。

さらに、性的な関係といっても行為の範囲や内容も大きなポイントになります。
一度きりの性交渉だったとしても不貞行為に変わりありませんし、性的サービスを商売にした風俗も不貞行為に該当する可能性もあります。
また、ラブホテルに2人で長時間滞在していたり、泊まりの旅行に行ったりするなど、性的な関係を持ったと推測できる状況にある場合も、不貞行為が認められることがあります。

不貞行為を直接禁止している法律はありませんが、民法第752条では『同居、協力及び扶助の義務』として「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」と定めており、そこに明記はされていませんが、夫婦には互いに不倫や浮気をしない貞操義務があると考えるか、婚姻共同生活の平和を維持する法的利益があると考えることもできますので、不貞行為がこれらの法的義務に違反するか法的利益を侵害するものと評価できれば、違法性を裏付けることができます。
特に、民法第770条では、夫婦の離婚事由の一つとして、『配偶者に不貞な行為があったとき』と定めていることからも、やはり不貞行為は法的な責任が問われる不法行為であるといえるでしょう。


離婚請求や損害賠償請求を行うには

不貞行為は、された側に精神的な苦痛を与え、権利を侵害する行為でもあります。
もし、自分の配偶者に不倫をされた場合は、配偶者に対して離婚請求や損害賠償請求を行うことができます。

離婚請求とは、配偶者に離婚、すなわち婚姻関係の解消を求めることを意味します。
配偶者が話し合いや調停での離婚に応じない場合は、離婚訴訟を起こすことができます。
不貞行為を理由に離婚訴訟を起こす場合は、配偶者が不貞行為を行った証拠を裁判所に提出して、不貞行為によって夫婦関係が破綻したことを証明する必要があります。
有力な証拠となるのは、基本的には肉体関係を証明または推認できるものとされており、たとえば不倫相手とのメールやLINEのやり取りの記録、録音データや第三者の証言、写真や動画などです。
さらには調査会社の調査報告書やラブホテルの領収書なども証拠として採用されることがあります。

これらの証拠は、損害賠償請求を行うときにも有用です。
不貞行為の損害賠償請求は、精神的な苦痛を受けた賠償として慰謝料を請求することになります。
そのため、証拠がないと慰謝料の請求が認められません。
また、損害賠償はあくまで不貞行為によって夫婦関係が破綻したことが前提となるため、不貞行為が明らかになる前から別居しており、すでに夫婦関係が破綻していた場合などは、請求は認められません。

慰謝料の額は、不貞行為を行った配偶者と不倫相手の関係や期間、年齢差や相手の社会的地位などのほか、夫婦の婚姻期間や婚姻生活の状況、子どもの有無などによって変わってきます。
離婚をせずに夫婦関係を継続するのであれば50万円~100万円前後、不貞行為が原因で離婚した場合には200万円~500万円前後が相場とされることが多いでしょう。

慰謝料の請求は不貞行為を行った配偶者だけではなく、不倫相手にも行うことができます。
また、不倫相手だけに慰謝料の請求を行うケースもあるようです。
既婚者だったことを知りながら性交渉を行っていたなど、不倫相手に明らかな故意・過失がある場合などは、不倫相手に慰謝料を請求することが認められています。

不倫は個々の夫婦の問題であり、状況もそれぞれ異なるため、どの夫婦にも共通する一貫した答えが出せるものではありません。
しかし原則、不貞行為は法律違反であり、問題が大きくなった場合は離婚や慰謝料といった代償も発生します。
配偶者以外とのどのような関係が不貞行為に該当するのか、きちんと理解しておくことが大切です。
そして万が一、配偶者の不貞行為が発覚したら、まずは弁護士などの専門家に相談してみることをおすすめします。


※本記事の記載内容は、2023年4月現在の法令・情報等に基づいています。

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