税理士法人大沢会計事務所

税理士法人大沢会計事務所

退職金の税金について

23.05.02 | 税務・経営お役立ち情報

先月、岸田首相が議長となっている新しい資本主義実現会議が開かれ、労働市場改革の原案(論点案)が公表されました。論点案には、退職金の課税制度の見直しが記載されています。現在の制度では、勤務先を退職する際に受け取る退職金は個人の所得税の課税対象となりますが、税金が結果的にかからない場合や、確定申告が不要な場合があります。

現在の所得税の制度では、毎月支給される給与と比較して退職金は税務上優遇された課税制度となっています。現行の制度について簡単に以下でまとめてみました。

(1)退職金の確定申告について

退職の日までに、勤務先に「退職所得の受給に関する申告書」を提出すると、退職金から所得税と住民税が源泉徴収(住民税は特別徴収)され、退職金に係る税金は勤務先が納付しますので、確定申告は不要となります。
「退職所得の受給に関する申告書」を提出しなかった場合は、退職金の支給額に20.42%の税率を乗じた所得税及び復興特別所得税の額が源泉徴収され、退職者本人が確定申告をして所得税及び復興特別所得税の精算をすることとなります。


(2)退職所得の計算について
退職所得の金額=(退職金の額-退職所得控除額)×1/2
退職所得控除額は、勤続年数により以下の額となります。
勤続年数20年以下の場合 40万円×勤続年数(80万円未満のときは80万円)
勤続年数20年超の場合  800万円×(70万円×(勤続年数-20年))

なお、短期退職手当等に該当する場合(勤続年数が5年以下)は退職金の額から退職所得控除額を控除した残額のうち、300万円を超える部分の金額は2分の1課税を適用しません。また、特定役員退職手当等に該当する場合(役員等で勤続年数が5年以下)は全額が2分の1課税の対象外となります。

公認会計士・税理士 大沢日出夫
https://www.osawakaikei.jp/

TOPへ