税理士法人大沢会計事務所

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相続空き家特例の改正

23.05.17 | 税務・経営お役立ち情報

令和5年度税制改正で、相続空き家特例(被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例)が改正され、令和9年12月31日まで4年延長されました。
この制度の概要と改正内容についてご説明いたします。

Ⅰ 相続空き家特例について制度の概要(改正前)
相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋または被相続人居住用家屋の敷地等を、平成28年4月1日から令和5年12月31日までの間に売った場合、一定の条件に該当するときは、譲渡所得の金額から最高3000万円まで控除することができます。

1.特例の対象となる家屋・敷地等
被相続人(お亡くなりになった方)の居住用の家屋で以下の条件にあてはまるもの及びその家屋の敷地等
・昭和56年5月31日以前に建築
・区分所有建物登記がされている建物ではない
・相続の開始直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかった

2.特例適用の条件
①売った人が、相続または遺贈により被相続人居住用家屋および被相続人居住用家屋の敷地等を取得したこと

②次のイまたはロの売却をしたこと。
イ 相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋を売るか、被相続人居住用家屋とともに被相続人居住用家屋の敷地等を売ること。この場合、以下の条件に当てはまることが必要です。
・相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていたことがないこと
・譲渡の時において一定の耐震基準を満たすものであること。

ロ 相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋の全部の取壊し等をした後に被相続人居住用家屋の敷地等を売ること。この場合、以下の条件に当てはまることが必要です。
・家屋については相続の時から取壊し等の時まで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていたことがないこと。
・敷地等について相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていたことがないこと及び取壊し等の時から譲渡の時まで建物または構築物の敷地の用に供されていたことがないこと。

③相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること

④売却代金が1億円以下であること。

⑤売った家屋や敷地等について、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例や収容等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと。

⑥同一の被相続人から相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋または被相続人居住用家屋の敷地等について、この特例の適用を受けていないこと。

⑦親子や夫婦など特別の関係がある人に対して売ったものでないこと。


Ⅱ 令和5年度税制改正について
適用期限が4年延長され、令和9年12月31日までとなり、令和6年1月1日以降の譲渡については以下の改正後の規定が適用されます。
①被相続人居住用家屋がその譲渡の時からその譲渡の日の属する年の翌年2月15日までの間に次に掲げる場合に該当することとなったときは、この特例の適用を受けることができることとされました。
イ 耐震基準に適合することとなった場合
ロ その全部の取壊し若しくは除却がされ、又はその全部が滅失をした場合

②相続又は遺贈による被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等の取得をした相続人の数が3人以上である場合は、特別控除額が2,000万円とされました。

公認会計士・税理士 大沢日出夫
https://www.osawakaikei.jp/

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