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外国人労働者を雇用するなら就業可能な在留資格か確認を

23.06.13 | ビジネス【労働法】

日本で働く外国人労働者は年々増え続けており、2022年10月末には182万人を突破しました。
外国人労働者の雇用によって人手不足などが期待できますが、雇用の際には文化や習慣の違いのほか、在留資格の種類や就労制限の有無なども確認する必要があります。
外国人労働者を雇用する際に知っておきたいポイントを解説します。

外国人を雇用するメリットとデメリット

少子高齢化が進むなか、外国人労働者を人手不足解消の切り札として考える企業が増えています。
厚生労働省によれば、外国人労働者を雇用している事業所は2022年10月末時点で29万8,790所と、統計開始以来、過去最高を記録しました。
この数は日本の全事業所のおよそ4%にあたります。日本に在留する外国人労働者を国籍別に見ると、ベトナムが全体の25.4%と最も多く、中国の21.2%、フィリピンの11.3%と続きます。

外国人労働者の雇用は、人手不足解消のほかにも、社内の活性化や訪日外国人客への対応強化などのメリットがあります。
また、日本人にはない発想やアイデアが新商品の開発に役立つこともあるでしょう。
一方で、外国人労働者は言葉や文化、習慣が日本人とは異なるため、円滑なコミュニケーションを図るには工夫が必要です。
たとえば、指示や説明の際には口頭だけではなく、ジェスチャーや翻訳アプリ、筆談やイラストを活用すると、より意思が伝わりやすくなります。
両国の文化や習慣を共有するために社内研修や勉強会などを開くのも効果的です。
日本では当たり前でも、外国人にとってはタブーになる行為もあります。
外国人労働者と一緒に働くには、その国のことをよく理解し、お互いの価値観や考え方を認め合うことが大切です。

また、労働法に関しては、外国人労働者の国のものではなく、原則として日本の法律が適用されます。
日本人と同じように、外国人労働者に対しても労働契約法や労働基準法などを遵守し、外国人労働者から日本で就労することを希望されるよう労務管理する必要があります。


在留資格以外の仕事で雇わないよう注意を

外国人が日本に在留するには出入国管理及び難民認定法(入管法)に基づき、在留資格を得る必要があります。
日本に中長期在留する外国人には『在留カード』が交付されます。
カードには氏名、生年月日、国籍、在留期間のほか、在留資格の種類が記載されています。
出入国在留管理庁の分類では、在留資格は29種類あり、『定められた範囲で就労が認められる在留資格』は20種類、『原則として就労が認められない在留資格』は5種類、『就労に制限がない在留資格』は4種類です。

たとえば、永住者や日本人の配偶者などは就労に制限がない在留資格のため、日本人と同様に制限なく雇い入れることができます。
一方、留学生や短期滞在者などは、原則として就労が認められない在留資格のため雇用できません。
ただし、留学生でも地方入国管理局で『資格外活動の許可』を得れば、夏休みなどの長期休業期間中は1日8時間、原則として週28時間まで就労することができます。

また、在留資格のうち『技能』は熟練した技能を持つ外国人に認められるもので、たとえば調理師や加工技師などとしての10年以上の実務経験を証明してはじめて取得できます。
そのため外国語ができるからといって通訳として雇用するなど、認められた範囲外の就労は禁止されています。
もし、範囲外の就労をさせてしまったり、在留資格のない外国人を働かせたりすると、事業者は不法就労助長罪に問われ、懲役3年以下または300万円以下の罰金が科される可能性があるので注意しましょう。
外国人労働者を雇用する際には、在留カードを提示してもらい、本人確認と在留資格の確認を忘れずに行うことが大切です。


※本記事の記載内容は、2023年6月現在の法令・情報等に基づいています。

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