村川博之会計事務所

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NOをYESにする力! 結果を出すための「説明術・プレゼン術」 その5

15.01.18 | ビジネス【マーケティング】

前回、前々回でご紹介した「言語化力」「細分化力」を上手に活用した説明をしても、決定権者がどうも乗り気にならない場合があります。

そんなとき、相手は何か否定的な言葉を発します。
「ピンとこないな」
「パンチが足りないね」
「新鮮味がないよ」
「決めきれないな」
NOを言うときに彼らが言うセリフは、同じような常套句ばかりです。それはなぜか?

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実は決定権者自身が、求めているものを上手く言葉にできないからなのです。
そこで活用できるのが「質問力」。決定権者が本当に気になっているのは何かを探り出し、次の再提案につなげましょう。

そんなときは、とにかく質問を繰り返しましょう。
辛抱強く、次につながるように、案の修正の方向が見えるように、質問力を駆使して、正解に迫っていくのです。

質問力には(1)範囲を狭める質問、(2)意図を引き出す質問、(3)方向を引き出す質問 の3つがあります。
(1)では、ピンと来ないのが、どの方向にピンと来ないのか、地味と感じているのか、うるさいと感じているのか、相手の真意の範囲を狭めていくように心掛けます。
(2)では、もし相手が、今の案を地味と感じて派手にしたいと思っているのなら、その意図は何かを探っていきます。
(3)では、次の提案、YESにつながる具体的な方向を探ります。

決定権者が、実は「自分の言いたいことの言語化能力」に優れていないケースは少なくありません。
ポジションが高いからこそ、いつも周りが一生懸命に探り出してくるのに慣れてしまい、自分の言いたいことを明瞭に伝える能力が鈍ってしまうわけです。

あるいは決定権者は、説明を聞く側だから十分な準備をしていないことも考えられます。
そのために、そこで感じた「もう少しこうしてほしい」「もう少しこうであればYESと言えるのに」という気持ちをストレートに表現することができず、あいまいな表現で不満を表し、その不満が解消されなければNOを言い続けることになります。

そういうときには、相手の心の中にあることを想像しながら、質問を繰り出しましょう。
「それってつまり、こういうことですか?」
「それは例えば、こういう感じでしょうか?」
「それは言い換えると、こんなご要望でしょうか?」
キーワードは、“例えば”と“言い換えると”です。
例示して、別の言葉で提示するのです。

例えばチラシのデザイン案を提案したときに、「もう少しパーッとした感じになりませんかね」などと、恐ろしくあいまいな反応が返ってくることがあります。

そんなときも「パーッと言うのは、例えば“派手に”ということでしょうか?」「明るく、というニュアンスが強いですか?」「それとも目立つように、ということが近いですか?」というように、別の言葉に置き換えて相手に例示してみます。

「派手に」を求めているのか、「明るく」を求めているのか、「目立つ」が必要なのか?
それによって、次回提案の方向は、まったく違ってくるわけです。

次回は説明術・プレゼン術の最後に、「調整術」について、お伝えしていきます。


次回の「佐藤達郎の今すぐ使える!マーケティング手法」は
『NOをYESにする力! 結果を出すための「説明術・プレゼン術」その6』をお届けします。



[プロフィール]
佐藤 達郎(さとう・たつろう)
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。

[記事提供]

(運営:株式会社アックスコンサルティング)

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