宮田総合法務事務所

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家族信託の「信託監督人」とは?設置を検討すべきケースとは?

23.07.25 | 暮らし・人生にお役に立つ情報

家族信託の設計において、「信託監督人」の設置は必須ではありませんが、設置しておいたほうが良いケースがあります。
そこで今回は、そもそも信託監督人とは何か、また、信託監督人の設置を検討すべき代表的なケースをご紹介します。

【信託監督人とは?】
信託監督人とは、財産管理を任された受託者が信託目的にしたがって適切に業務を遂行しているかをチェックする役割を担う人です。
具体的には、信託財産たる現金の出納帳や家族信託用の預金口座の入出金状況(取引履歴)を定期的にチェックしたり、受託者が信託不動産の売却や建替えする際にその計画が適切かどうかを精査して同意をする業務などがあります。
信託監督人には、親族だけではなく、弁護士や司法書士といった家族信託に精通した法律専門職を指定することも可能です。
大切なことは、私的感情を挟まずに、受益者のために財産管理が適切に行われているかを客観的・冷静にチェックすることだと言えます。

【信託監督人の設置を検討すべきケースとは?】
原則として、受託者の財産管理業務をチェックするのは受益者自身になります。ただ、家族信託の受益者は高齢である場合が多く、将来的に受益者自身がしっかりとチェックすることができない事態も想定すべきです。
また、受益者が障害者や未成年者となる場合も、受益者自身がチェックをすることが難しいと言えます。
以上を踏まえまして、受託者の財産管理を受益者以外にチェックさせるため、信託監督人を置いておきたい代表的ケースは、下記になります。

(1)信託財産が高額なケース
信託財産が高額なケース、たとえば、受託者が管理する収益不動産から毎月100万円前後の高額な賃料収入が入ってくる場合や金5,000万円以上の高額な金銭の管理・運用が想定される場合は、受託者に定期的な報告義務を課して、家族に財産管理状況を開示する仕組みはお勧めです。
とはいえ、家族に対する報告・開示について、受託者の努力義務にしてしまうとチェック機能が形骸化してしまいますので、信託監督人という家族信託の中の役割をきちんと定めておくことは良策になり得ます。

(2)家族内に紛争性がある場合
家族関係が微妙・円満とは言えないケース、たとえば、受託者となる長男とそれ以外の長女や二男とがあまり仲良くない場合にも信託監督人を置くことがあります。
長男の財産管理業務の適正を保つ一方で、他の兄弟からの干渉や情報開示要請があり、受託者側が過度な負担やストレスを感じたり財産管理業務に支障が生じないように、客観的な立場から財産管理状況をチェックするイメージです。
受託者以外の兄弟を信託監督人にすると、感情的なもつれから兄弟間、つまり受託者・信託監督人間で争いが起きかねませんので、このようなケースでは、敢えて中立的・客観的な立ち場の第三者に信託監督人業務を依頼することが前提となります。

家族信託は設定後も想定していなかった問題が発生することがあります。
信託監督人を設置することで、受託者に対する監督機能に加え、想定外の事態にも柔軟に対応できるような家族信託の設計はお勧めです。


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