宮田総合法務事務所

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家族信託の契約を公正証書で作成する2つのメリット

23.08.23 | 暮らし・人生にお役に立つ情報

「家族信託」の契約は契約当事者(財産管理を任せる立場の「委託者」と実際に財産管理を担う「受託者」)の合意があれば成立するため、信託契約書を必ずしも公正証書で作成する必要はありません。

とは言え、公正証書で作成することにより、大きなメリットが得られるのも事実です。

今回は、家族信託の契約書を公正証書で作成するメリットを2つ取り上げてご紹介します。


【メリット1】 後日のトラブル・紛争を防ぐ効果

私文書(※)で信託契約書を作成した場合、「本当に本人の意思に基づいて契約したのか」「契約書作成時の委託者たる老親の判断能力は適切だったのか」などが疑われ、後日家族・親族内でトラブルになるリスクがあります。

一方で、公正証書であれば、契約書作成時に公証人が面前で契約当事者(委託者・受託者)本人の意思確認を行うため、前述のトラブルになるリスクを大幅に軽減することができます。

また、私文書の契約書原本を紛失してしまうと、信託契約に基づく資産継承の実現ができなくなるリスクがあります。
一方の公正証書の場合、原本は公証役場に保管されているため、信託契約書を紛失しても再発行してもらうことができ安心です。

※ 私文書:公的な立場にない一般の私人が作成した書類のこと。


【メリット2】 金融機関で“信託口口座”が作成できる

家族信託に対応できる金融機関においては、信託契約公正証書に基づき、受託者が“信託口口座”を作成することができます。

この口座は、死亡など受託者の任務終了事由が発生したとしても、信託契約書の中であらかじめ指定された「後継受託者」がスムーズに口座を引き継げる点において、金銭管理に永続性・安定性をもらたすメリットがあります。

もし現時点で、受託者の住所地や勤務地等の近くに“信託口口座”が作成できる金融機関が無くても、将来的に近くの金融機関が対応できるようになれば、以前に作成した信託契約公正証書をもとに“信託口口座”が作成できることになりますので、長期にわたり老親の多額の金銭を管理するケースにおいては、より安心感が高まります。



以上、家族信託の契約書を公正証書で作成するメリットを2つご紹介しました。

公正証書の作成は、公証役場(公証人)との打合せ・契約書案の事前準備が必要です。
すべての公証人が家族信託に詳しいとは限りませんので、家族信託を検討されている方は、司法書士などの家族信託のコンサルティングができる法律専門家に相談をして、家族会議の中で信託の設計や信託契約の内容についてしっかりと検討した上で、公証証書の作成を目指すのが良いでしょう。

家族信託や遺言、生前贈与、任意後見・・・など、老親の財産管理・資産凍結対策・円満円滑な資産承継対策に関するご相談は、家族信託のスペシャリスト集団である宮田総合法務事務所までお気軽にご相談下さい!



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