宮田総合法務事務所

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相続放棄ができなくなる!単純承認とみなされる行為の具体例

23.09.17 | 暮らし・人生にお役に立つ情報

みなさんは相続における「単純承認」をご存知でしょうか。
単純承認とは、故人の相続財産(資産も負債も)を無条件ですべて承継することです。
単純承認をしたとみなされると、原則として、相続放棄はできなくなります。

そこで今回は、相続放棄ができなくなるリスクのある単純承認とみなされる行為の具体例を一部ピックアップして紹介します。

~単純承認とみなされる行為の具体例~

(1)相続財産から葬儀費用を支払う

葬儀代は、喪主となる相続人又は遺族が支払うのが一般的です。相続人や遺族、第三者が自分の財布から葬儀代を支払ったとしても、相続放棄に影響はありません。
その一方で、葬儀費用を相続財産から支払う行為はどうなるでしょうか。
葬儀にかかる費用については相当な範囲内であれば、単純承認とは認められないとされています。たとえば、火葬に必要な最低限度の費用を支払うだけであれば問題ないでしょう。もちろん、その支払明細が分かる領収書を保管しておくことは重要です。
しかし、華美・盛大な葬儀を執り行った際の費用は単純承認したとみなされる可能性が高くなります。墓石の購入・位牌の作成に関する費用などを相続財産から支払う行為についても、単純承認したとみなされる可能性があります。また、初七日や四十九日、一周忌といった法要にかかる費用を相続財産から支払ってしまうと単純承認したと見なされるため、相続放棄できませんので注意が必要です。

(2)相続財産から被相続人の債務を支払う

相続財産から被相続人の債務を支払う行為も、「相続財産の処分」(民法第 921 条第 1 号)に該当して相続放棄ができなくなる恐れがあります。
その一方で、相続人が自分の固有財産から債務の弁済をおこなう行為は、保存行為であって、「処分」には当たらないと解されています。
なお、既に債務や税金について、被相続人の財産から支払ってしまった場合でも、その債務の性質や金額等によっては保存行為と解釈され、相続放棄が認められる余地はあります。
この辺りは、具体的な事情により最終的に家庭裁判所が判断しますので、支払ってしまった場合でも、あきらめずに一度、司法書士・弁護士等の法律専門職に相談されることをお勧めします。

(3)金銭的価値の高い「形見」を受け取る

金銭的価値の高い「形見」を受け取る行為も、単純承認とみなされる可能性があります。
被相続人が大事にしていたものを形見として受け取った場合、金銭的価値が高くなければ単純承認には該当しないといえます。
しかし、ブランド物のスーツや時計、宝石・貴金属、着物、骨董品など、高価なものを受け取ると、相続を受けたものと判断され、単純承認したとみなされるリスクがあります。
形見として受け取って問題ないか判断が難しい場合は、形見分けの前に法律専門職に相談するといいでしょう。
なお、遺骨や位牌、仏壇は、相続財産ではなく「祭祀財産」と考えられており、これらを引き取っても相続放棄は可能となります。


以上、今回は単純承認とみなされる行為の具体例を一部ピックアップして紹介しました。

今回紹介した内容はあくまでも具体例の一部になります。
これ以外にも単純承認とみなされる行為はありますので、慎重に対応を進めるためにも一度当事務所にご相談ください。

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