外村公認会計士税理士事務所

利便性が向上! 美容室にカフェを併設して集客を図るには

24.06.04 | 業種別【美容業】

美容室にカフェを併設する店舗が増えてきました。
以前から保育所やネイルサロンなどを併設している美容室は存在していましたが、そうした異業種とのコラボのなかでも、特にカフェを併設するスタイルは、集客に高い効果を発揮するといわれています。
カフェの併設はお客にとって、美容室を選ぶ際の動機の一つになりえます。
メリットや注意点なども交えながら、美容室にカフェを併設する際のポイントについて、解説します。

お客の満足度をアップさせるカフェの併設

美容室にカフェを併設するメリットは「お客の利便性の向上」と「新規顧客の開拓」があげられます。

カフェを併設する利便性は「使い勝手のよさ」にあるといえます。
コーヒーや紅茶で一息つけるスペースが美容室にあれば、お客が予約の時間よりも早く店に到着した場合、通常であれば店の近くで時間をつぶさなければならないところを、美容室併設のカフェでリラックスして待機できます。
また、前の施術が押してしまったり、次のお客の予約時間が過ぎたりしてしまっても、それほどストレスを感じることなくお待ちいただけるでしょう。

また、カフェが併設されていれば、施術後も時間調整に利用できます。
次の予定まで間が空いてしまうお客などは、コーヒーや紅茶を飲みながら、ゆっくりと過ごせるというわけです。
また、子どもの施術などにつきそうケースなども、親はカフェで待機していられます。

利便性の向上はお客の満足にも直結します。
満足度が高ければ、自然と来店客数も伸びていくでしょう。

新規顧客の開拓については、カフェを併設することで、カフェ目当てのお客を美容室にも取り込むという狙いもあります。
自分の時間を過ごせるという意味では、カフェは美容室ともなじみやすく、カフェのお客がそのまま美容室のお客になってくれる可能性は高いといえるでしょう。

そして、カフェの内装やメニューなどにこだわることで、さらなる相乗効果を生む可能性があります。
近年は「レトロ」や「占い」、「宇宙」や「メルヘン」などをテーマにしたコンセプチュアルなカフェがメディアにも取り上げられるなど、大きな注目を集めています。
特徴のあるカフェでお客を集めることができれば、美容室の集客にもよい影響を与えられるでしょう。

カフェ併設時の注意点と必要な許可や資格

美容室にカフェを併設する際に注意したいのは、隣り合っており、行き来できるといっても、双方はあくまで別の店舗ということです。
したがって、美容室とは別にカフェの営業許可も取得しなければいけません。

カフェや喫茶店を経営する際は、食品衛生責任者の資格と飲食店営業許可が必要です。
食品衛生責任者は、自治体の食品衛生協会が開催する講習を受ければ取得できます。
飲食店営業許可は、管轄の保健所に許可申請を行う必要があり、自治体ごとに要件などが細かく定められているため、事前に確認しておくことをおすすめします。

また、美容室とカフェは別の店舗とみなされるため、美容室の施術スペースでカフェのメニューを提供することは認められません。
カラーリングの合間など、施術中の待ち時間にカフェのメニューを楽しんでもらうには、お客にカフェスペースへ移動してもらう必要があります。

ほかにも、カフェで提供している食べ物や美容室の薬剤など、それぞれの匂いが一方のお客を不快にさせてしまう可能性もあるので、エアーカーテンや分煙機などで対策を講じておきましょう。

こうした注意点はあるものの、うまくカフェの経営を軌道に乗せることができれば、美容室を経営していくうえで、大きな助けになってくれるはずです。

2023年10月に厚生労働省が公表した『令和4年度衛生行政報告例』によれば、2023年3月末時点で全国の美容室の数は約27万軒であることがわかりました。
前年度比で5,000軒以上も増加しており、今まで以上に競争が激化している様子がうかがえます。
特に主要都市圏などの激戦区で生き残るためには、他店との差別化が欠かせません。

近年は、展示会なども行えるイベントスペースや洋服が購入できるアパレルショップ、コーヒースタンドやジューススタンド、お酒の飲めるバーなどを併設して、差別化を図る店舗も出てきました。
何がお客に喜ばれるかを第一に考えながら、カフェなどの併設と合わせて、検討してみてはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2024年6月現在の法令・情報等に基づいています。

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