桂川会計(桂川淳税理士事務所) 

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「データヘルス計画」で「出戻り」患者がやってくる!

15.03.11 | 業種別【医業】

4月から新たな保健施策「データヘルス計画」が始まります。
「データヘルス」…何だかデータを健康にするかのようなピンとこないネーミングですが、安倍内閣の日本再興戦略で打ち出されたものです。

レセプト、特定健診、人間ドックのデータもほぼすべて電子化されているのだから、それを分析し、それぞれの保険者の責任においてしっかり保健指導を行い、医療費削減に励みなさい、という取り組みなのですね。
レセプトは2013年時点で92%が電子化されていますので、それを活用しない手はありません。
個人に対してデータをもとにした保健指導がいかに有効かは、すでに実証済みだそうです。

選ばれるクリニックへのナビゲーション

一見、ビックデータの活用推進施策のように見えますが、実はその陰で大きな保険行政の方向転換がなされています。
それは、健康増進事業を行う主体が、自治体ではなく保険者であるということ。
つまり企業健保は今後、自治体の行う特定健診・特定保健指導と連携を取りながら、従業員の健康増進の“責任を負う”ことになります。

さらに、今回の目玉は1次予防ではなく、アセスメントによる患者予備軍または患者の進展予防、つまり2次予防に主眼が置かれています。
保険者には早期発見・早期治療だけでなく「行動変容」の責任も課せられたというわけです。

その当面のターゲットは糖尿病。
放置や治療中断で、糖尿病性腎症に移行してしまう患者を減らすのが目標で、各健保間の実績もいわゆる「見える化」される見通しです。
すでに、東芝やNTTデータから、レセプトデータの解析により受診勧奨すべき従業員を自動的に抽出できるシステムが登場しました。
抽出された従業員は医務室に呼び出され、産業医からデータを突き付けられて受診を説得されるのでしょうね。

ということは、今後、糖尿病の新患や、治療を中断していた患者さんがクリニックにやってくるわけです。
クリニックにとっては、絶好の集患のチャンス。
せっかくの出戻りの患者さんがまた中断してしまわぬよう、いかなるアプローチが行動変容につながるかを一考されるよい機会ではないでしょうか。


[プロフィール]
中保 裕子(なかほ・ゆうこ)
医療ライターとして全国のがん医療、地域医療の現場を中心に医療者、患者、家族へのインタビューを行うほか、新聞広告等での疾患啓発広告制作、製薬企業等のマーケティング調査の実績も多い。有限会社ウエル・ビー 代表取締役。 
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(運営:株式会社アックスコンサルティング)

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