税理士法人 A to Y

税理士法人 A to Y

アイディアは、つくるより選ぶのが難しい? アイディアの選び方、その4

15.06.14 | ビジネス【マーケティング】

アイディアを選ぶための8つのテクニック。今回は、その(5)と(6)です。

まず、(5)は「戦略コンサルのMECE(ミッシー)も、ゆる~く参考に」。世の中には、戦略コンサルティング・ファームと呼ばれる会社があります。マッキンゼーとかボストン・コンサルティングとかが有名ですね。超アタマのいい人たちが、企業のビジネスが取るべき戦略について、基本的には企画書ベースで分析を行い、その企画書(活動)に企業が多額の報酬を払っているような会社群です。

この戦略コンサルの方々がよく口にする言葉にMECE(ミッシー)という言葉があります。MECEは、Mutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの略で、「相互に排他的な項目」による「完全な全体集合」を意味し、要するに「重複なく・漏れなく」ということになります。ものごとを検討し、結論を出すための重要なツール(つまり、選ぶ・決める技術の重要なツール)とされています。

この「重複なく・漏れなく」という考え方は、そんなに厳密に使う必要はありませんが、一定程度、アイディアを選ぶ時にも参考になります。

「重複なく」の方は、方向性の検討の際に頭に置いておくといいでしょう。「方向性Aと方向性Bは結局ひとつの方向性として考えてもいいよね(その方が整理がつきやすいよね)」といった場合です。「漏れなく」の方も、アイディアを選び・決める際に重要な考え方です。「もう別に切り口はないか?」と、初心に戻って考えてみることが、アイディアの幅を広げてくれます。

次に、(6)の「まず、理屈で分けて、理屈で絞る。数案に」に移りましょう。

アイディアを選ぶプロセスは、基本的には「理屈」を中心に進めます。理屈で分けて、理屈で絞っていきます。そしてその際に重要なのは、前回まででご説明したように「言語化」することです。感覚的な良し悪しをすべて言葉にし、理屈で選抜・検討していきます。

すべて理屈をメインに考察を進め、議論を繰り返し、プロセスを進めます。慣れれば、ある種“機械的に”できるような作業です。アイディアを3案程度に絞るまで、この形で進めます。良い点もダメな点も検討し、関係者の意見も的確に反映し、“納得のいく”3案が目の前にあるはずです。

もし万一、納得いってないようであれば、ステップの最初からあるいは途中から、作業を何度か繰り返しましょう。この方向でもっと強いアイディアが欲しい、とか、この方向でもっと抑えた企画案はないか、とか課題をハッキリさせてから作業を繰り返せば、やがて“納得のいく”3案にたどり着くことができます。

そして、その3案にたどりついたら、次のテクニック(7)に向かいます。最後の最後は、理屈だけではなく「感覚」も総動員して、1案に決めるわけです。

さて、次回はいよいよ、アイディアの選び方の最終回をお届けしましょう。


佐藤達郎の今すぐ使える!マーケティング手法


[プロフィール]
佐藤 達郎(さとう・たつろう)
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。


[記事提供]

(運営:株式会社アックスコンサルティング)

TOPへ