矢ノ目税理士事務所

法人が負担する税金は下がるのか

15.07.21 | トピックス

平成27年4月1日以後開始する事業年度から法人税率が引き下げられることとなりました。また、平成26年10月1日以後開始事業年度から地方法人税が創設されることとなりました。
安倍総理は数年で法人実効税率を20%台にすると銘打ってさまざまな政策を打ち出していますが、上記改正により皆様にどのような影響があるか解説していきます。

1.概要

①法人税率の引き下げ
法人実効税率を国際的に遜色のない水準に引き下げることにより、日本の立地競争力を強化する目的で、法人税率が引き下げられることとなりました。
※法人実効税率とは、法人税やそのほか法人住民税等も考慮した企業の利益に対する実質的な税金負担割合をいいます。

②地方法人税の創設
地方自治体間の格差を是正するため、法人住民税等(法人負担の他の地方税含む)の税率を引き下げ、その分新たに国が徴収する地方法人税が創設されました。
法人税額×4.4%を納める必要があります。

2.法人が負担する税金は下がるのか

①法人税率
※資本金1億円以下の中小法人
                    【改正前】    【改正後】
年800万円以下の所得金額         15%       15%
年800万円超 の所得金額         25.5%      23.9%

ご覧のとおり中小法人で年800万円以下の所得金額の場合、法人税率は引き下げられていません。
経済産業省の統計では日本の8割強が中小法人といわれており、その中でも法人税率の引き下げによる恩恵を受けられる法人は限られています。

②法人実効税率
法人が負担する全体の負担割合ではどうでしょうか。

表をご覧いただくと2.の大規模法人では2.5%下がったのに対し、1.の中小法人では0.33%下がったのみであり、100万円の所得が出たとすると3,300円しか軽減されないこととなります。



安倍総理は法人実効税率の引き下げをうたっていますが、その実態は中小法人と大法人との税負担の差が縮まっただけのように思われます。
各地の税理士先生の中でもこのことに疑問を呈している方はいらっしゃるようです。
今後の安倍内閣の方針に注視していきたいところです。

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