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マイケル・ジャクソンも実は信託を活用していた!?

15.08.07 | 業種別【不動産業(相続)】

民事信託の具体的な活用例として、世界的に有名な「マイケル・ジャクソン・ファミリー・トラスト」を挙げてみましょう。 

実は、アメリカでは日本とは異なり、亡くなった方の財産が当然に法律で決められた相続人へ引き継がれる「当然相続主義」を採用していません。そのため、相続財産の帰属や遺言の内容、遺産分割協議などについて、すべて裁判手続き(プロベートといいます)を受ける必要があります。このプロベートは、費用もかかる上に非常に手続きが複雑で、長い期間を要する傾向にあります。

そこで、このプロベートを回避するため「リビング・トラスト」と呼ばれる生前信託が普及しています。

「リビング・トラスト(生前信託)」とはその名の通り、生前に財産の名義を家族などに移す信託制度のことで、マイケル・ジャクソンも、このリビング・トラストを利用していました。 

その内容をご紹介いたしましょう。まず、「遺産のすべてを生前に設立した財団『マイケル・ジャクソン・ファミリー・トラスト』に信託する」という遺言を作成しました。

信託された遺産は、その40%を母キャサリン・ジャクソンへ、40%を3人の子どもたちへ、そして残りの20%を寄付するという内容です。皆さんならもうお分かりでしょう。委託者はマイケル・ジャクソン、受託者は財団、受益者は、母、3人の子、慈善団体という構成です。 

受益者である3人の子どもについては未成年であったため、成人するまでは、信託財産の中から生活費や教育費を受け取って、30歳でその1/3を、35歳で1/2を、40歳で残りの全額を自由に使えるとされており、遺された遺族の生活を長期的な視野で手厚く保護する仕組みになっていたのです。 

ここで、「遺言で家族へ財産を遺せばいいのでは?」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。もちろん、遺言でも財産を遺すことはできますが、遺産は一括して承継されるため、子どもたちが財産管理能力が不十分な若いうちに、すべての財産を消費してしまうというリスクもあります。

上記のように、継続して安定的に遺産を承継できるような信託の仕組みを作っておけば、財産管理能力が十分に備わっていない未成熟な子や、身体的・精神的な障がいにより特別な配慮を要する相続人、浪費癖のある相続人への資産承継として、理想的な形を作り上げることができるのです。 


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