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部下の残業は上司の経営能力次第! ホワイトカラーの残業時間をもう一度考えよう

15.09.11 | ビジネス【人的資源】

日本の労働時間が主要国の中でアメリカと並んで長いことは、統計調査によっても明らかです。所定労働時間は問題ないのですが、残業時間が長いのです。特に残業時間が長いのは、若者と高所得者だそうです。若者とは30歳代で、年収500万円足らずの人たち。高所得者とは年収1,250万円以上で、管理職、医師、事務、販売のしかるべき職務にある人たちです。 

このような2つのグループの働き過ぎは、その性質が違うようです。若者の場合は管理者の責任が大きいでしょう。しかし、高所得の管理職・専門職の場合は、部外者から言わせれば「好きでやっている」ととられます。事実、仕事が面白くてのめり込むことはよくあることです。ある意味幸せですが、健康管理は大切です。

<若者はなぜ労働時間が長い?> 
なぜ時間が貴重なはずの若者がせっせと働くのでしょうか。大企業の正社員であると、残業代稼ぎのほか、手厚い身分保障を失いたくない。目の前に昇進の道が開けているから順調に進みたい。その先には肩書きつきの高所得の待遇が待っている。それゆえにエリートコースほど、長時間労働を苦にしません。片や、中小企業でも若者は期待されます。若いほど大事にされるでしょう。その反面、職場の雰囲気を壊したくない、というようなチームワーク意識が育ち、残業時間が長くなります。いずれにしても、正社員の場合です。 

<上司の力量で無駄な仕事を減らせる> 
以上は、残業時間が長い理由としてよく言われることです。さらに、日本の企業の特性として、次の原因を指摘する原田泰(ゆたか)という人がいます。それは、残業は上司の命令によるものですが、その上司の経営能力が問題だというのです。 

例えば、国会の大臣の答弁を準備するために、霞が関の役人は夜遅くまで仕事をするのが通弊ですが、これはあらゆる想定質問の準備をするからです。企業内でも同じ。上司のために下準備をしても、全部使われるとは限りません。無駄な仕事を減らすのは、上司の力量次第。つまり、上司の経営能力があれば、部下の仕事が減り、残業がなくなるというのです。 

<これだけは注意> 
社員の健康管理は管理者の仕事です。社員の疲労からひとたび労災でも起これば、イメージダウンは甚だしく、風評被害が起こるかもしれません。メンタル・マネージメントは転ばぬ先の杖です。また、残業を続けている人は自分の健康に考えが及ばないほど、仕事にのめり込むことが多いものです。心配するのは家族の方で、労働基準監督署が動くのも家族からの訴えが多いと聞きます。雇用関係があれば、どんな人でも原則、一日8時間、週40時間の労働が法で決まっています。社員の心身の健康状態まで配慮することが、管理者には求められるのです。 


企業成長のための人的資源熟考 


[プロフィール] 
佐野 陽子(さの・ようこ) 
慶應義塾大学名誉教授。1972年慶應義塾大学商学部教授。87年から2年間、日本労務学会代表理事。89年から2年間、慶應義塾大学商学部長・大学院商学研究科委員長。96年東京国際大学商学部教授。2001年から4年間、嘉悦大学学長・経営経済学部教授。主な著書:『はじめての人的資源マネジメント』『企業内労働市場』(ともに有斐閣)。 


[記事提供] 

(運営:株式会社アックスコンサルティング)

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