有限会社 サステイナブル・デザイン

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ぐるぐる天国®経営通信151008号(Vol.9)

15.10.08 | オトク情報

ノーベル賞受賞の2先生の言葉・業績から思うこと、そして来週に引き続き話題のラグビー日本代表について!

1.ノーベル医学生理学賞:大村先生にみる「後世最大遺物」の実践 
2.ノーベル物理学賞:梶田先生にみる物理学者像
3.ラグビーW杯予選プール最終戦に向けて

1.ノーベル医学生理学賞:大村先生にみる「後世最大遺物」の実践

医学生理学賞を受賞した大村先生は、
マスコミで報じられている大村先生の言葉を拾うと、

「自分ではなく微生物のおかげ」
「北里先生が応援してくれた」
「人のためになりたいという気持ちは人一倍強く、それが結果になった」
「郷里の山梨のためになることをしたい」

など、お人柄の素晴らしさにあふれていることに感銘を受けました。

授賞理由は「寄生虫病の新たな治療法に関する発見」。
抗寄生虫薬「イベルメクチン」は10億人以上に提供されたそうです。
そこから得たロイヤルティ収入250億円もすごいですね。
しかし、その大半を研究施設や美術館、温泉施設など世のため人のために提供。

・・・等々、逸話は数え切れないほどあるようです。

さて、そこで思い出したのが、内村鑑三「後世への最大遺物」という本です。

これは、人が後世に残し得る最大の遺物は何かを論じたもの。
超簡単に要約すると(ご興味があれば読んでみてくださいね、岩波文庫から出ています)、、、

第1は「金」。これに勝るものはない。
第2は「事業」。金が残せなければ、金を有効に活用する事業を行え。
第3は「思想」。金も残せず事業も行えなければ、それを行える人々に影響を与える思想を残せ。
第4は「勇ましい高尚なる生涯」。金も事業も思想も、誰もが残せるものではないが、これは誰もが残せる。そして、これこそが本物の遺物である。

大村先生のキャリアは、研究者としてではなく、定時制高校の理科教諭から始まりました。
そこから研究者として実績を積み、思想とはちょっと異なりますが、「研究」が億単位の人々を救う製薬という「事業」となり、ロイヤルティという「金」にもなりました。
それを遺物として残すのではなく、生きている生涯において世のため人のために還元し、ついに科学者としての最高の栄誉であるノーベル賞受賞に至る人生は、まさに「勇ましい高尚なる生涯」そのものです。

ちなみに、ノーベル賞自体もまた、後世最大遺物の第1に挙げられた「金」に基づいて行わなれている「事業」であり、それはダイナマイトで巨財を築いたノーベルの「思想」にもとづいており、これによりノーベルの生涯も単なる実業家ではなく「勇ましい高尚なる」ものになったのではないでしょうか。

2.ノーベル物理学賞:梶田先生にみる物理学者像

物理学賞の梶田先生は、2002年にノーベル賞を受賞した小柴先生のお弟子さんです。
授賞理由は「ニュートリノが質量を持つことを示すニュートリノ振動の発見」。

詳しいことは解説できませんが、、、小柴先生によれば今回の受賞は「取って当たり前」という程の大業績。
ちなみに、「梶田先生は群を抜いて優秀な弟子だったか?」という取材記者の誘導質問に、小柴先生、しばし考えました。
で、おもむろに口を開いて何というかと思ったら、「そうは思わない」と。ちょっとニヤッとした気がしましたが。。。

スーパーカミオカンデという地下1000mに5万トンの水を貯める巨大装置があっての業績。
梶田先生が「小柴先生、戸塚先生が私を導いてくれた」と言う戸塚先生とは、すでに亡くなられた、スーパーカミオカンデの実験のリーダー。

物理学者というと、アインシュタイン博士やホーキング博士のような、天才的な思索者を思い浮かべがちですが、小柴先生も梶田先生も(そして戸塚先生も)、物理学者としての才能だけでなく、プロジェクトマネジメントの能力に優れているに違いありません。

大村先生の場合は「微生物」ですが、梶田先生の場合は「観測データ」が命。
その観測データを生み出すために必要だったのは、大規模観測施設の建設と運営です。

小柴先生のカミオカンデは、プロジェクトXでも取り上げられていたように、観測のキモとなる光電子増倍官という検出器の開発という難題を乗り越えて完成。
スーパーカミオカンデはそれを20倍近くスケールアップした100億円事業。
今計画されているハイバーカミオカンデは、さらに20倍スケールアップした100万tの貯水量で、事業費は800億円です。

物議をかもした(している)新国立競技場より1桁少ないものの、大事業です。
この大事業の着実な実行の上に、研究が成り立つわけです。

研究の実施と研究者の育成は大学の本務ですが、プロジェクトマネジメントは必ずしもそうではありませんし、どのようにしてそれができる人材が育ったのか、興味深いところです。

3.ラグビーW杯予選プール最終戦に向けて

話は変わってラグビーです。
サモア戦に快勝して2勝1敗となった日本。最初の1勝から次の1勝(南ア)まで24年。その次までは、わずか2週間でした。
しかし、南アフリカがアメリカに勝利して、結局予選プール1位通過が確定。
日本に負けたとはいえ、勝ち点2を得ていたのが大きいですね。
これで、日本が目標とする予選通過・ベストエイト進出は、日本VSアメリカ戦の前に行われる
サモアVSスコットランドの結果次第ということになりました。
スコットランドが勝った時点で、日本の予選通過はなくなります。
なので、サモアを応援するほかありません。

で、日本は、サモアVSスコットランドの結果により、試合の課題が異なってきます。
確率は低いですが、サモアが勝った場合、日本はアメリカ戦に何が何でも勝って、2位での勝ち抜けを目指します。

問題はスコットランドが勝った場合。日本は3勝目を目指すのはもちろんですが、今大会でのベストエイト進出という目標未達は確定しています。
よい方に考えれば、これまで3戦で試合出場機会がない・もしくは少ないが、4年後も引き続き代表レベルで活躍できると見込まれる選手にW杯を経験させるよい機会となります。たとえばウイングの藤田選手・福岡選手・真壁選手です。

ただ、過去、日本はW杯でアメリカに勝ったことがないのです(勝ちそこなった試合ばかり!)。
アメリカは今大会全敗です。南ア戦は0-64で完封負けでしたが、前半は0-14で善戦しました。
最後に一矢報いたいとモチベーションを上げてきたら、手ごわい相手です。

今大会での成績と、2019年に向けての布石をどう両立させるか、これに対し、今大会後に退陣するエディ・ジョーンズHCがどういう選手起用と戦略を授けるか、注目のポイントになるでしょう。

しかしまずは他力本願、10/10、サモアの勝利を応援しましょう!


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