税理士法人テラス

賞与の支給要件に90%以上の出勤率を求めることは、問題ありませんか?

15.11.13 | ビジネス【労働法】

「休んでばかりいる従業員に賞与なんて出せない! うちの賞与は90%以上出勤している者にだけ支給をする。産前産後休業や育児時間は働いていないんだから出勤とは認めないよ」 

このような社長の考えは問題ないでしょうか? どこまでが大丈夫で、どこまでがアウトだと思いますか?

賞与は賃金の後払いのような性質もありますが、会社への貢献・勤務態度・会社の業績などを総合的に判断して支給されることが多いので、支給要件を会社が自由に決めることが認められています。そういう意味では、賞与の支給要件に90%以上の出勤率を求めることは、基本的に問題ありません。

従業員の出勤率を向上させ、休みがちな従業員には経済的なメリットがなくなるとするのは、合理性があると考えることができます。 

問題となるのは、産前産後休業や育児時間を欠勤扱いとしてしまうところです。労働基準法においては、6週間以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を働かせてはいけないことになっています。また、産後8週間を経過していない女性を働かせてはいけないことになっています。 

育児についても、3歳未満の子供を養育する従業員から請求があった場合は、所定労働時間を短縮しなければならないことが、育児・介護休業法に規定されています。 

このように、法律で定められている休業や休暇を請求した場合に欠勤扱いとするのは、法律が規定した目的を意味がないものにしてしまうことになるので、認められません。 

上で示したように、出勤した日数から産前産後休業や育児時間を欠勤扱いとして外すことは認められませんが、賞与額の計算から除外してもよいという判決が出ています。

賞与を出すか出さないかでは、カウントしなければなりませんが、賞与の額を計算からは外しても良いということになります。法律に基づいた休業といえども、働いてはいないわけなので、金額の計算には含めないということです。(東朋学園事件 最一小判平15年12月4日 労判862号14頁) 


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(運営:株式会社アックスコンサルティング)

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