有限会社 サステイナブル・デザイン

有限会社 サステイナブル・デザイン
  • HOME
  • オトク情報
  • ご存知ですか?不正競争防止法 ぐるぐる天国通信151202号(Vol.12)

ご存知ですか?不正競争防止法 ぐるぐる天国通信151202号(Vol.12)

15.12.02 | オトク情報

2003年はCSR経営元年、と言われてから干支ひとまわりして2015年。

しかし、、、
・東芝:利益かさ上げ不適切会計
・フォルクスワーゲン:排ガス規制逃れ不正プログラム
・旭化成建材:杭打ちデータ改ざん
・タカタ:欠陥エアバッグ虚偽報告
・大平物産:有機肥料検査逃れ偽装表示
等々、不正行為が跡を絶ちません。

「年年歳歳、花相似たり、歳歳年年、人同じからず」という中国古典の言葉がありますが、
「年年歳歳、不正相似たり、歳歳年年、人同じからず」です。

どうして、うなってしまうのかは難しい問題ですが、うなってしまうのかはわかりやすい話です。
不正によって得た利益よりも、不正発覚後の事後処理費用や信用棄損による不利益の方がはるかに莫大です。

しかし、それだけではありません、刑事罰(懲役刑・罰金刑)の対象になる可能性もあるのです。
その根拠法となるのが今回のテーマ、不正競争防止法です。

覚えていますか?「古紙偽装」

この季節、年賀状の準備に追われている会社も多いのではないでしょうか。
もうすぐ8年になりますが、2016年の正月明けに発覚したのが「古紙偽装」です。
年賀はがきから始まり、国のグリーン購入法の根幹を揺るがしかねない問題になりました。

要は看板に偽りあり、「古紙100%の再生紙です」とうたっていながら、数%~数10%しか古紙を配合していなかった。
結果、景品表示法にもとづく優良誤認の不当表示として、製紙会社8社に排除命令が下されました。

で、グリーン購入法を所管する環境省の再発防止策として
特定調達物品等の表示の信頼性確保に関するガイドライン
を策定する業務を受託し実施したのですが、この法律には罰則規定がありません。
そこで、景品表示法適用を踏まえて、同法とのひもづけを行うことにしました。

実は、検討過程では、不正競争防止法とのひもづけも研究しました。
景品表示法は消費者への表示(BtoC)に対する規制ですが、
不正競争防止法は企業間の競争(BvsB)に対する規制です。
ただ、当時はあまり積極的な運用がなされておらず、研究で終わりました。
(多数の会社で同じような問題が発覚したので、変な話ですが、不正競争とはいいづらい、という事情も。。。)

不正競争防止法とは

さて、本題です。
事業者間の公正な競争を促進することを目的とした不正競争防止法は、かなり古い法律です。
明治44(1911)年に検討が始まり、大正時代に一度法案が起草されたものの見送られ、
昭和9(1934)年に制定されるまで23年もかかりました。それから80年以上。

詳しくは、経済産業省の概説資料をご覧頂ければと思いますが、、、

・奇抜な形状のゲーム機を発売したところ、よく似た形のモノマネ商品が出回り始めた。
・ゲームメーカーがコピーを制限していたプログラムを、無断でコピーできるようにする機械を輸入・販売した。
・きちんと管理していた顧客名簿を元従業員が在職中に持ち出し、他社で使用されてしまった。

などが禁止されている不正競争の例として挙げられています。
1番目の例は「パクリ」、2番目の例は「無断複製」、3番目の例は「顧客名簿持ち出し」ですね。

この3番目の例に近いのが、昨年起きたベネッセの個人情報流出事件です。
私の家にも、お詫びの手紙やら経過報告やらが来ました。

この事件の場合は、流出した顧客名簿が、営業秘密に該当するかどうかが争点となっているようです。

不正競争には、12の類型があります(本記事冒頭の画像をクリックしてみてください)が、
以下、情報流出(営業秘密の流出)に限って話を進めます。

不正競争防止法教育の必要性

ベネッセのような大企業の話と、中小企業は全然関係しそうにないと思われるかもしれません。
しかし、退職した元社員が、在職中に交換した名刺を使って、あるいは顧客リストを持ち出して、横取り営業された、といった話はよくあるのではないでしょうか?

このとき、企業の側が顧客リストを「営業秘密」として管理している実態がないと、「営業妨害だ!」と言ってみても、不正競争に該当しない可能性があります。
顧客情報が社内で共有化されておらず、社員個人の名刺ファイル(場合によっては名刺入れ!)にしか存在しないような場合ですね。

個人情報保護法の施行以後、そして今年になってからはマイナンバー対策として、
規則の整備や物理的措置、第3者認証によって情報セキュリティ強化に取り組んでいる企業も多いはずです。
(名刺管理サービスの利用も、対策の一助になります)

それでも、ベネッセのような事件は起きてしまうわけです。
まして、中小企業においては。。。

ですが、もし、従業員等が顧客リストを持ち出して使ったり売ったりすることが不正競争法で処罰される行為であると知っていたら。
それを会社の社員教育として教えられていたとしたら。

こうした行為への抑止力となり、会社の信用と利益を守ることに役立つのではないでしょうか。

不正競争防止法の平成27年改正(つまり、今年ですね)で、
最高で懲役10年、罰金2000万円、犯罪収益の没収など、
罰則が強化されました。

刑事罰を受けた上に、不正に得た利益も取り上げられてしまうなら、
安易に情報を持ち出すリスクの方が大きいと判断するのが普通の人の感覚でしょう。

無知は無力。知っていることは力。これが典型的に当てはまるのではないでしょうか。

追伸
営業秘密としての個人情報保護と、不正競争防止について、
専門家を招いたセミナーを12月18日に開催します。
ご関心の向きは、こちらからどうぞ!
12月8日までの先行予約割引あります。

TOPへ