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マイナンバーに関する新対応(ストーカーやDV被害者等への朗報)

15.08.14 | 企業の法制度

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今年の10月5日から、いよいよマイナンバー制度が施行されます。住民票を有する全ての者に、各市町村から、マイナンバーを記載した紙製の「通知カード」が、簡易書留で住民票の住所地に世帯ごとに送られてきます。しかし、さまざまな事情で、住民票に記載した住所に住んでいない方々が多くいます。その中でも、最も心配されていたのは、ドメスティックバイオレンス(DV)やストーカー行為、児童虐待などの被害者で、住民票を動かさずに加害者から身を隠している方々です。また、東日本大震災の被災者で、住民票を残したまま避難先で長期生活をされている方も困ります。また、こういった方々を雇用する企業・団体なども、マイナンバーの提供を受けるに際して、どのように指示したらよいか、困っていたものと思います。

そのような方々に、政府はようやく、具体的な救済策を打ち出しました。

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■10月5日以降に届く「通知カード」について
総務省は2015年8月7日、事情により住民票に記載した住所でマイナンバーの「通知カード」を受け取れない場合、実際に住んでいる場所を送付先に変更する方法を公表しました。その申請期間は、8月24日~9月25日です。

通知カードはマイナンバー制度が施行される10月5日以降に、簡易書留で住民票に記載のある住所地に世帯ごとに送られます。

しかし、東日本大震災による被災者や、ドメスティック・バイオレンス(DV)、ストーカー行為等、児童虐待等の被害者は、住民票を残して別の場所(居所)に住んだり、長期間の入院等をすることが見込まれる方などについては、住民票の住所地では通知カードを受け取ることができません。また、住民票の住所地に送付された通知カードをDV等の加害者が受け取ってしまうことも想定されます。

このように、事情により住民票に記載した住所で受け取れない場合は、市区町村に申請すれば避難先など住民票のないところに送付先を変更できるようになりました。 

申請可能者
居所への通知カードの送付が申請で可能となるのは、以下の方々です。
①東日本大震災により被災し、住所地以外の場所へ避難している方
②DV等被害者で、住所地以外の場所へ移動している方
③医療機関・施設等への長期の入院・入所が見込まれ、かつ、住所地に誰も居住していない方
④上記以外の方で、やむを得ない理由により住所地において通知カードの送付を受けることができない方

送付先を変更するには、市区町村や相談機関(配偶者暴力相談支援センター、警察署、法テラスなど)、総務省ホームページから「居所情報登録申請書」を入手し、運転免許証などの本人確認書類や、居住していることを証明する公共料金の領収書などの書類を添付して、住民票のある市区町村に持参または郵送する必要があります。代理人が申請する場合は、委任状や代理人の本人確認書類が必要です。

添付が必要な書類(詳しくは申請書注意事項を参照)
•申請者の本人確認書類(運転免許証など)
•居所に居住していることを証する書類(公共料金の領収書など)
•代理人の代理権を証明する書類(委任状など)[代理人が申請する場合]
•代理人の本人確認書類(運転免許証など)[代理人が申請する場合] 

登録期間
8月24日~9月25日必着としているので、急がなくてはなりません。

DV等支援措置について
なお、DV等被害者の方は、転入した市区町村に対して「DV等支援措置」を申し出ることをお勧めします。申出により「DV等支援対象者」となった場合には、自身の転入先の新しい住所について、加害者が「住民基本台帳の一部の写しの閲覧」、「住民票の写し等の交付」及び「戸籍の附票の写しの交付」の請求によって知ろうとしても、これらの請求を制限する措置が講じられます。
 

また、運転免許証やパスポートなどの本人確認書類がDV等の加害者などの第三者が保有している可能性がある場合には、第三者による「なりすまし」のおそれがあります。このため、現在居住中の場所(居所)のある市区町村への転入とDV等支援措置の申出をご検討ください。詳しくは、お近くの市区町村にお尋ねください。 

 

■来年1月から申請交付の「個人番号カード」について
以上は、今年の10月5日以降から郵送が始まる紙製の「通知カード」ですが、これとは別に、「個人番号カード」というICカードが、平成28年1月以降、本人が申請した場合に、住民票住所地の市区町村長から交付を受けることのできるようになります。

この「個人番号カード」についても、住所地の市町村役場以外で受け取れるようにする手続き案が検討されています。

政令などの改正案
総務省は本年7月15日、企業などの従業員が勤務先の市町村で自治体職員が本人と確認できれば申請できる政令などの改正案を公表しました。

その改正案では、東日本大震災の被災者やDV被害者、児童虐待などの被害者らが、住民票に記載された住所地とは異なる市町村でカードを受け取れるようにする案で、8月19日までパブリックコメントを行っています。これがこのままの内容で改正になるかは分かりませんし、具体的な手続きなども不明なままですが、柔軟な対応が可能となるものと思われます。他方で、ゆるく運用したために成りすまし被害が発生が生じても困りますので、なかなか難しい制度です。

3方法の追加案
この改正案では以下の3方法を追加する予定となっています。

①申請時来庁方式
申請時に住所地の市町村が指定する場所に出頭した場合において、厳格な本人確認が可能であるときには、交付時に出頭することなく、本人が確実に受け取れる方法でカードの交付を行う方法
②居所経由申請方式
東日本大震災の被災者やDV 被害者等の住所地の市町村の事務所に出頭することが困難な者について、当該者の居所地の属する市町村を経由してカードの申請を行うことができる方法
③勤務地経由申請方式
法人の従業者等について、勤務先の事務所等が所在する市町村を経由してカードの申請を行うことができる方法

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