宮田総合法務事務所

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海外居住者への相続税課税強化の動き

16.11.01 | 暮らし・人生にお役に立つ情報

先日のニュースで、政府・与党が、海外資産への相続税課税を抜本的に見直す方針であることが報道されました。


海外居住者や外国人に対する相続税課税の動向と現在の相続税の納税義務者についてまとめてみました。

先日のニュースで、政府・与党が、海外資産への相続税課税を抜本的に見直す方針であることが報道されました。

現行の相続税法では、相続人と被相続人が海外に5年超居住している場合、海外資産には相続税がかかりません。

しかし、富裕層を中心に租税回避のため海外居住をする人が後を絶たないため、この動きに歯止めをかける趣旨で、 法改正して課税できるようにする方針のようです。
財務省は、日本国籍を保有する人や10年以上海外に居住していない人には、海外資産にも相続税をかける案などを検討しているようです。



また、日本で一時的に働く外国人が死亡した場合にも、海外資産(全世界の保有資産)にも日本の相続税を課税している現状も見直し、 日本の資産にだけ相続税をかける方針のようです。
例えば、日本に永住権を持っていたり、5年以上日本に住んでいたりする外国人には海外資産にも相続税を課す一方で、 それ以外の人は課税対象から外すなどの案が出ているといいます。

大企業では、外国人が役員に入ることも多くなっている中で、 もし日本に駐在中に急死した場合、高額な相続税課税のリスクを恐れ、日本で働くことを敬遠する高度人材がいるとも言われています。


自民税調は、2017年度税制改正大綱に盛り込む方向で議論を始めるということです。
マイナンバー制度の導入や国同士の連携による租税回避行為の排除など、莫大な資産を持つ方にとっては、 生きづらい世の中になりそうですね。。



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★日本の『相続税』の納税義務者のまとめ

日本の『相続税』を支払う義務のある人(納税義務者)は、大きく分けると下記の2つになります。

(1)全世界の所有財産が対象となる人(無制限納税義務者
(2)日本の所有財産だけが対象となる人(制限納税義務者


上記(1)になるか(2)になるかは、下記の3つの項目により判断します。

(A) 被相続人(亡くなった人)と相続人の住所地
(B) 国籍
(C) 国内居住期間


以下にまとめてみましょう。

(あ)亡くなった人(外国人も含む)の最後の住所が日本にある場合

⇒⇒⇒相続人は、国籍・住所地を問わず、無制限納税義務者
(日本人でも外国人でもどこに住んでいても)



(い)被相続人(外国人も含む)の最後の住所は海外だが、亡くなる前5年以内に日本に住所があった場合

⇒⇒⇒現在日本に住所がない外国人は、制限納税義務者
上記以外の人(日本国内外に住む日本人や日本に住所がある外国人)は、無制限納税義務者



(う)被相続人(外国人も含む)の最後の住所が海外で、かつ、亡くなる前5年以内に日本に住所がなかった場合

⇒⇒⇒下記の条件に当てはまる人に限り、制限納税義務者
●海外に住んでいて、被相続人が亡くなる前5年以内に日本に住所がなかった日本人
●日本に住所がない外国人

上記以外の人(日本に住んでいる日本人や海外に住んでいて被相続人が亡くなる前5年以内日本に住所があった日本人、日本に住所がある外国人)は、無制限納税義務者

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