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少子高齢化で急がれる訪問歯科診療の体制づくり

17.10.06 |

厚生労働省の患者調査によると、歯科診療所に通院する患者数は1999年から増加傾向にありますが、その主な要因となっているのは高齢者の受診増加です。

64歳以下の患者が減少傾向にある一方、65歳以上(特に75歳以上)の患者の増加が著しく、全体の患者増加につながっているわけです。

8020(ハチマルニイマル)運動や歯科診療技術の発達によって、高齢者の残存歯数が年々増加傾向にあり、それに伴って歯周病患者が顕著に増えていることも高齢者の歯科需要が増えた要因と考えられます。 

高齢の患者のなかには、歯科医療に通院できない患者もかなり多くいるようです。 

患者調査をみると、2014年の歯科診療所の外来受療率は青年期後から徐々に増え続けていきますが、65~74歳をピークに低下しています。
一方、「かみにくい」と訴える高齢者は年齢とともに増加しています。 

地域の要介護高齢者を対象とした悉皆研究調査では、高齢者の7割が歯科治療を必要としているというデータもあります。 

つまり、要介護状態などのため歯科医院に行きたくても行けない高齢者が、いま現在すでに多く存在し、団塊世代が後期高齢者になる2025年以降はさらに増えてくるということです。 

このような患者を取り込んでいくには、訪問歯科診療による継続的なケアを実施できる体制づくりが不可欠といえます。 

高齢の患者には「できるだけ自分の歯でしっかり食べたい」というニーズは多くあります。
また、嚥下機能の低下による誤嚥性肺炎を起こさないためにも、かかりつけの歯科医による継続的なケアが必要なのです。 

とはいえ、1人の医師が外来診療の合間に訪問歯科診療を実施するのはなかなか困難です。 

この解決策のひとつとして、患者のニーズに合わせた歯科医院機能の多角化があります。 

都内のある歯科医院は各分野に精通する歯科医を20名配置しており、審美歯科や矯正歯科、インプラント、小児歯科と多彩な診療メニューを揃えています。 
さながら歯科医療のデパートの様相を呈していますが、訪問歯科診療に関しても訪問用車両を3台用意しており、土日祝日を含め毎日、患者宅へ訪問しているようです。 

「それはマネできない」と思われるかもしれませんが、ここで重要なのは、患者のニーズに合わせて自院の機能を変えていけるかどうかなのです。 

明らかに増加していくマーケットを目前に、「訪問歯科診療は面倒だから」の一言で何もしないというのは、もったないのではないでしょうか。 

地域や患者のニーズに応えていくためにも、地域のケアマネジャーや医療機関との連携を推進し、訪問歯科診療を実施できる仕組みを考えていくべきでしょう。



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