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稲盛和夫の破格のオファーを断る。 『湘南ベルマーレ』を率いる名監督が、去就を決める条件とは?

17.10.27 |

野球やサッカーのコーチや監督は、基本的には球団・クラブのフロントの判断によって去就が決まります。

そんな中、名監督には多数のオファーがあり、自分の判断で去就を決めることができます。 

彼らは何を基準に去就を決めるのでしょうか? 
名経営者である稲盛和夫のオファーを断ったサッカーJ2リーグ『湘南ベルマーレ』の曺貴裁(チョウ・キジェ)監督の、指導者としての信念についてご紹介します。

■去就? 続投? 曺貴裁監督の判断基準とは? 

曺貴裁(チョウ・キジェ)監督は2012年にサッカーJ2リーグの『湘南ベルマーレ』の監督に就任しました。 

彼は、2017年までの6年間に2度のJ1昇格と2度のJ2降格を経験しています。 
J1昇格の功績はとても大きいですが、その一方でJ2降格の責任もまた大きい。 

しかし、クラブ内部からは、監督の責任を問う声は聞こえてきません。 
むしろ、選手やサポーターから絶大な信頼を得ていたのです。 

なぜ、曺貴裁監督はクラブ内部だけではなく、選手、そしてサポーターから信頼を得ていたのでしょうか? 

曺監督にはサッカー指導者としてのある信念があります。 
それは、「選手の成長を手助けできなければ、次の年の監督は引き受けない」というものです。 
つまり、自己保身の感情は1ミリもないのです。 

2016年には稲盛和夫が会長を務めるクラブを含め、多数のオファーがありました。
しかし、曺監督は雇用の条件ではなく、自身の信念に基づき、続投を決断しました。 


■『選手の成長』を実現させるために 

曺監督の信念は、練習メニューにも表れています。 
選手の成長を手助けするには、監督自身が、自分の引き出しを増やす必要があります。 
苦しい練習でも選手が前向きに取り組み、終わったあとには表情に充実感が浮かぶようなメニューを、毎日提供しなければなりません。 

1日平均2時間の練習のために、曺監督は3倍から4倍の時間を費やして準備をしています。
目に見えない苦労は、練習の中身に表れ、選手に伝わり、揺るぎない信頼関係が築かれていったのです 。
長期政権によるマンネリ化はありません。 

湘南ベルマーレは、3度目のJ1昇格へ向けて、現在J2の首位を快走しています。 



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●プロフィール● 
戸塚 啓(とつか・けい) 
1968年、神奈川県生まれ。法政大学法学部法律学科卒業後、雑誌編集者を経てフリーのスポーツライターに。新聞、雑誌などへの執筆のほか、CS放送で欧州サッカーの解説なども。主な著書に『不動の絆』(角川書店)、『僕らは強くなりたい~震災の中のセンバツ』(幻冬舎)。

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