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約40%を占める『潜在的介護福祉士』の業界復帰を促すためには?

18.07.06 |

食事や入浴、車いすでの移動補助などの“身体介護”や、利用者への“相談・助言”、家事や身の回りの世話をする“生活支援”等、介護サービスの中心となる重要な存在として位置づけられている介護福祉士。平成30年3月時点で介護福祉士として登録された人の総数は、約156万名となっており、2年間で15万人程度増加しています。
そのうち約60%は介護職に従事していますが、残りの約40%は介護福祉士の資格を保持していながらも介護職に従事していない方々で、『潜在的介護福祉士』と呼ばれています。

今回は、この『潜在的介護福祉士』について考察していきます。

2025年問題と人材不足対策

団塊の世代が後期高齢者の75歳になる2025年には、約253万人の介護人材が必要になると言われていますが、現在のペースで介護人材が増えても約215万人の充足にとどまり、約38万人の介護人材が不足するであろうと試算されています。
そこで、厚生労働省が介護人材を確保するために打ち出した主な対策が、再就職支援対策を強化することによる“離職した介護人材の呼び戻し”と“潜在的介護福祉士の活用”です。特に介護福祉士は現場では即戦力となり、かつチームケアの中核を担うことができる人材のため、2025年問題に向けて『潜在的介護福祉士』の業界復帰が期待されています。


潜在的介護福祉士になった理由とは?

潜在的介護福祉士の業界復帰のために、具体的にどのような取り組みがされているのでしょうか。厚生労働省では、離職した介護福祉士の届出制度を創設して離職者情報を把握するとともに、離職期間中のブランクによる不安感を払拭するため、専門的介護技術の再研修の実施や、職場体験等の再就業支援により、復職しやすい環境づくりを行っています。また、その他にも再就職準備金の貸付も実施されています。

しかし、業界復帰を促すには、「そもそもなぜ、潜在的介護福祉士となったのか?」を確認する必要があります。その大きな原因として考えられるのが、介護福祉士の資格を持つ方は女性が多いため、結婚や妊娠、出産、育児を理由とした退職ではないでしょうか。特に介護の仕事は、精神的にも肉体的にもハードであるため、妊娠中や出産・育児を抱えた女性にとっては仕事を続けることが困難になってしまいます。
また、仕事がハードな割には、他の業界よりも賃金相場が低いことも介護離れに影響を与えていると考えられます。


潜在的介護福祉士の業界復帰は見込めるのか?

潜在的介護福祉士が業界に復帰するためには国家の再就職支援策も必要ではありますが、現実的にはそれだけでは厳しいと思われます。
長期的な視点で働きやすい職場環境を構築していかなければ、目先だけの再就職支援に終わってしまう可能性が高いのではないでしょうか。
介護業界に再び人材を呼び込むためには“働きがいがある職場”を作ること、そして仕事内容に見合った対価(賃金)や待遇(労働条件)が確保できるように一刻も早く改善されることが望まれます。



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