その契約書、大丈夫? 該当文書の判定で収入印紙の金額が何十倍にも増える!?

契約には契約書がつきものです。原則として、課税文書に該当する契約書には、一定の金額の収入印紙を貼る必要があります。

ここで、金額の判断に迷いやすいのが「業務委託契約書」でしょう。

理由は、契約書の記載内容によって印紙税額が異なるからです。場合によっては、何十倍もの差が開くこともあります。
  

公開日:2017/03/31

■「請負契約」と「準委任契約」の違い 
第三者に対して、何らかの依頼をする際に結ぶ契約書を「業務委託契約書」と名付けるケースが多いです。 
この「委託」という言葉は民法上の用語ではありません。委託する業務の具体的内容や委託方法によって、民法上「請負契約」と「準委任契約」に大別されます。 

請負契約とは、仕事を完成させることを約束する契約です。受注側には仕事を完成させる義務があります。 
一般的には、受注側が成果物を納品して発注側が検収した後に、一括で報酬が支払われます。 
そのため、発注側が成果物に問題(瑕疵)を発見した場合、受注側は無償で修正しなければいけません。 

一方、準委任契約とは、委任をされた側が作業過程に責任を持つ契約です。 
作業中は、善意のある管理者の注意義務で業務を実施し、作業期間が終わると契約終了となります。 
受注側に仕事や成果物を完成させる義務はありません。報酬は一定期間ごとに支払われるのが一般的です。 


■契約書と印紙税の課税関係 
では、これらの契約書(金額記載あり)を印紙税という観点で見てみましょう。 

国税庁「印紙税額一覧表」に記載された通り、一定の請負に関する契約書は「2号文書」に該当します。 
他にも「工事請負契約書」「工事注文請書」「物品加工注文請書」「広告契約書」などが2号文書となり、これらは記載された契約金額に応じて、印紙税額分の収入印紙を貼らなければいけません。 

一方、準委任契約の契約書のうち「売買等の取引基本契約書」「特約店契約書」「代理店契約書」「銀行取引約定書」といった継続的取引が基本となる契約書が7号文書とみなされます。7号文書は、記載金額に関係なく、一律で4,000円の収入印紙が必要になります。 

また、「ソフトウエア使用許諾契約書」「売買契約書(一時的・単発のもの)」「情報提供契約書」など、2号文書でも7号文書でもない契約書は、不課税文書に該当し、収入印紙を貼る必要がありません。 


■契約金額5億円の場合、2号文書は10万円で7号文書は4,000円!? 
印紙税額一覧表にあるように、2号文書である請負契約による契約書と、7号文書である準委任契約の契約書とでは、印紙税額が異なります。 

例えば、記載された契約金額が5億円の場合、2号文書に該当する契約書の印紙税額は10万円になる一方、7号文書に該当する契約書であれば印紙税額が4,000円となり、その差は25倍にも開くのです。 


■請負契約と準委任契約の境界線はグレーゾーン 
契約書が請負契約か準委任契約かの大きな違いは「成果物の有無」になります。簡単に説明すると、成果物の完成を約束した契約書が2号文書で、成果物の完成を約束されていない契約書が7号文書です。 

2号文書に該当する契約書の範囲はあいまいな部分も多く、7号文書または不課税文書かの判断が困難な場合もあると言わざるを得ません。 

例えば、機械保守契約で「常に完全正常な状態を保つ」ことを約束する旨を契約書に記載されていると、2号文書とみなされます。 
一方、同じ機械保守契約でも、契約期間の記載があるが、月額保守料金を覚書に定めている契約書は7号文書になります。 


■いま一度、契約書の見直しを 
収入印紙を貼り忘れた場合でも、契約の効力そのものには影響しません。しかし、税務調査で発覚すると、その納付しなかった印紙税の額とその2倍に相当する金額との合計額(すなわち印紙税額の3倍)に相当する過怠税を徴収されますのでご注意ください。 

印紙税がいくら課されるかは、契約書の標題や名称のみによって判定するのではなく、その文書の記載内容によって判定されます。いま一度、御社の契約書を2号文書か7号文書か見極めて、判断がつかないものについては専門家に相談してみましょう。 

詳しいことは、会計事務所にお問い合わせください。 


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