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1+1の力を2以上に発揮させる“企業内コミュニケーション”の重要性

15.01.18 |

昔の話になりますが、1997年に四大証券の一つであった山一證券株式会社が廃業を発表したとき、一握りを除いて全国の社員は寝耳に水だったそうです。
マスコミに発表された朝、初めて自分の会社がなくなることを知ったということが、さらなるニュースになりました。

会社の非常事態でなくとも、大きな企業の場合、従業員が会社の重要な情報を新聞やテレビで知るというケースはよくあります。
ただ、従業員にとっては決して気持ちのいいものではありません。
自分の会社のことは、外部より詳しいはずですし、早く知りたいと思っています。

企業成長のための人的資源熟考

従業員同士や経営と従業員との関係を密にすることは、1+1の力を2以上に発揮することを意味します。
それを助けるのがコミュニケーション。
それでは、コミュニケーションとはどのようなことを指すのでしょうか?
経営側がすべきことの第一は、就業規則の徹底です。
加えて企業の目標、社訓など従業員ハンドブックをつくるのが大企業の通例です。
さらに、社内報、朝礼、掲示板などが活用されます。

要するに、トップダウンでなくボトムアップを奨励することでしょう。
その点、経営者の声が届くような小規模事業所では、ワンマンでなく誰でもモノが言える職場の雰囲気つくりが大切です。

従業員の声が届きにくい大企業では、従業員の意識調査を定期的に行うところもあります。
それによって、職場における不平不満を吸い上げようとするのです。

小さな不平も積もり積もると退職や争議行動につながります。
また、従業員の提案箱を設けているところもあります。
いまは、社内のインターネットを通じてコミュニケーションが容易になりました。
行き過ぎると、悪口を社外へ発信することもあります。

アメリカのデトロイトにあるフォードの工場に行ったとき、玄関にピカピカの乗用車が飾ってありました。
これは、工場を訪れるお客さんに見せるためではありません。
毎日通勤する従業員に見せるためです。

従業員一人ひとりが行う仕事は、常に車のパーツです。
しかし、「それぞれの仕事はこのような完成車になるのだ」ということを意識してもらうために飾っているという説明でした。
これも一つの企業内コミュニケーションです。



[プロフィール]
佐野 陽子(さの・ようこ)
慶應義塾大学名誉教授。1972年慶應義塾大学商学部教授。87年から2年間、日本労務学会代表理事。89年から2年間、慶應義塾大学商学部長・大学院商学研究科委員長。96年東京国際大学商学部教授。2001年から4年間、嘉悦大学学長・経営経済学部教授。主な著書:『はじめての人的資源マネジメント』『企業内労働市場』(ともに有斐閣)。

[記事提供]

(運営:株式会社アックスコンサルティング)

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