自社の決算書を金融機関の目線で見てみましょう

14.06.13 | ビジネス【財務】

金融機関は決算書を見て融資判断を行います。

金融機関を味方につけ最良の事業パートナーとしたいのであれば、決算書を大切にしなくてはなりません。

今回は、金融機関が貴社の決算書をどのように見ているかを解説します。


◆収益力を重視

金融機関にとって最も重要なことは、「貸したお金が返ってくるかどうか。」です。
まずは、会社がどの程度の返済能力を有しているかを確認します。貴社が返済できる金額の最大値は、税引き後利益と減価償却費の合計額で表されます。当然この額が大きければ大きいほど、より多くの融資を受けられることになります。「税引き後利益」は損益計算書内の最下部、「減価償却費」は、製造原価明細と販管費明細に記載されています。


◆安全性を重視

事業に失敗はつきものです。金融機関は、収益力の次に、会社が失敗に耐えうる体力をどの程度有しているかを確認します。確認する場所は、貸借対照表の右下に記載がある「自己資本」です。 自己資本とは、「資本金」と「設立してから今までの利益の累積値」の合計額です。収益力同様、この額が大きければ大きいほど、 融資を受けられる金額も大きくなります。但し、自己資本はそのままの金額では無く、修正を加えて使用される点に注意が必要です。


◆自己資本の修正方法

まずは加算項目です。
貸借対照表の負債の部にある「借入金」の中に、経営者からの借入金があれば、自己資本に加えることができます。中小企業の多くは、会社と経営者が一体ですので、経営者からの借入金は「返さなくても良いお金」と解釈できます。よって経営者からの借入は、自己資本と同種の資金とみなすことが可能です。


次に減算項目です。
貸借対照表の左側「資産の部」を見て判断します。問答無用で自己資本から減算される項目は、「不良債権」「不良在庫」 「償却不足」です。


「不良債権」とは、相手方の倒産等により回収不能となっている債権で、決算書上に「破産更生債権」等と書かれているものはもちろん、社長様へのヒアリングや勘定科目明細等から判断 して、回収不能と見込まれるものは自己資本から引かれます。


「在庫」は決算書に詳細の数値が記載されませんので、社長様にヒアリングを行い、不良化している在庫が判明すれば、不良在庫の額を自己資本から減算します。


「償却不足」は減価償却を行わないことで発生します。固定資産の価値は、時間の経過とともに減少していきますが、価値の減少分が決算書に反映されていない場合、問答無用で自己資本から差し引きます。「償却不足」は、税務申告書の「別表16」に記載されます。


その他、貸付金、仮払金等は金融機関が嫌う資産項目です。 議論の余地はありますが、回収不能と判断されれば減算の対象となります。


収益力(「税引き後利益+減価償却費」)、安全性(「修正 後自己資本」)が共にプラスの会社であれば、金融機関は前向 きです。どちらか片方がマイナスの場合はケースバイケース、両方ともにマイナスの場合は大変厳しい対応になります。


貴社の決算書はいかがでしょうか。

自社の銀行からの格付けが気になる方がいらっしゃいましたら、銀行融資プランナー協会正会員である弊社までお問い合わせください。

㈱江口経営センター 担当:神林 0258-35-3146 mail keiei@eguchikeieicenter.co.jp

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