TFSコンサルティンググループ/TFS国際税理士法人 理事長 山崎 泰

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海外出張費は、どこまで経費として認められる?

18.06.12 | 税務・会計

近年、中小企業でも、海外に生産拠点を構えたり、
海外市場でビジネスを展開するグローバル企業が増え、
頻繁に海外へ出向く機会が増えています。

せっかくの海外なのだから、仕事のついでに観光をと思うこともあるかもしれません。
この場合の海外出張に係る経費は全額経費になるのでしょうか。

本来、視察と観光とでは支出する費用の目的が異なります。

では、海外渡航費は、どのように処理をすべきなのでしょうか?

海外渡航費用を
業務と観光で区別しよう


海外へ視察や出張に行く際、ついでに観光をしたい、と思われることもあるでしょう。
観光を兼ねた海外視察費などの扱いについて、国税庁では以下のように定めています。 



つまり、海外渡航費用の税務上の取扱いは、その目的と内容により異なりますが、
原則として業務に関連する部分は“旅費”
会社が負担した観光に関する部分はその役員等の“給与”とされます。 

また、視察を行った場所が、得意先など外部者の場合には"交際費"とされます。 


“業務従事割合”を算出する

海外渡航費の旅費としての損金算入額または必要経費算入額を計算するには、
旅行日程を業務と観光とで分ける必要があります。

日数の区分については、昼間の通常業務時間(約8時間)を1.0日として、
おおむね0.25日単位で日数を割り出します。

そして、その日数を以下の式に当てはめて“業務従事割合”を算出しましょう。 



この業務従事割合が50%以上であれば、“海外渡航が業務遂行上必要である”といえるため、
『飛行機の往復運賃&その他の旅行に要する費用に、業務従事割合を乗じた金額』が旅費として認められます。 


行程表や領収書など証明できるものを保管しておく! 

下記に該当するものは、原則として“業務に関連するものではない”とされています。 



ただし、実務上、わざわざ就労ビザを取得せず、観光ビザで行く場合も多いでしょう。

そのため、業務への関連性があることをきちんと説明できれば、
旅費としての計上は可能だと考えられます。

また、役員が親族または業務に常時従事していない者を同伴した場合、
会社が負担した同伴者の旅費については、特別な場合を除き“同伴させた役員等の給与”とされます。 


海外渡航費は税務調査の際に必ずと言っていいほど確認される項目です。 

業務上必要か否か&同伴者はいるか否かなどは
“旅行会社などによる行程表や移動・宿泊・飲食関連の領収書など”をもとに確認されます。

そのため、しっかりと保管・記録しておくことが大切です。

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