TFSコンサルティンググループ/TFS国際税理士法人 理事長 山崎 泰

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「財務諸表・読み解き方講座①」~財務三表~

18.04.02 | 税務・会計

皆さま、こんにちわ。
税理士の妹尾 啓子です。

こちらのコーナーでは、
「財務諸表・読み解き方講座」として、
財務諸表の基礎の基礎から財務諸表の面白さをお伝えしていきたいと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。

財務諸表を苦手としている経営者さんは意外にも沢山いらっしゃいますが、
財務諸表は会社の業績や経営状態を表すだけでなく、
社長さんの経営に対する姿勢や性格まで語ってくれるとても興味深いものです。

取っつきにくいかもしれませんが、
構造が分かれば、数字が表す意味も自ずと見えてきます。

是非、財務諸表の構造を理解して、数字が語る面白さを実感していただければと思います。

第1回目の今回は、財務諸表の基本の基本、『財務三表』についてご説明したいと思います。

(つづく)

ところで、財務諸表とは何を指すのでしょうか。

財務諸表は金融商品取引法に規定する書類で、

 ・貸借対照表
 ・損益計算書
 ・株主資本等変動計算書
 ・キャッシュフロー計算書
 ・附属明細書

の5つです。

このうち、主なものが貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書で、
この3つの書類を合わせて、一般的には『財務三表』といいます。

それでは、財務三表、それぞれの特徴を見ていきたいと思います。


★貸借対照表★

貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)は
決算日における会社の財政状態を表す一覧表です。

英語ではBalance Sheet(バランスシート)といい、略してB/S(ビーエス)ともいいます。
「B/S(ビーエス)が・・・」なんていうと、「おっ!結構、詳しい人だな」という印象を持たれます。(^^♪

貸借対照表は決算日に会社が持っている全ての資産と全ての負債と純資産(資本)により形成されます。

資産=負債+純資産という等式が成り立つため、
つり合いが取れているという意味で「バランスシート」と言われます。

会社が設立した時から、今現在までの歴史が蓄積されており、
その会社が今までトータルで儲かってきたのか、損してきたのか。
どのように資金を調達してきたのか。
今現在、どのような状態なのかがわかる、いわば「会社の健康診断書」です。

社長さんからはあまり重要視されていないようですが、
会社の状況を知る上で一番重要な財務諸表といっていいでしょう。


★損益計算書★

損益計算書(そんえきけいさんしょ)は
一会計期間(通常は期首から期末までの1年間をいいます)の経営成績を表す一覧表です。

英語ではProfit and Loss Statement(プロフィット・アンド・ロス・ステートメント)といい、
略してP/L(ピーエル)ともいいます。
やはり、「P/L(ピーエル)が・・・」というと詳しい人だという印象を持たれます(^^♪

損益計算書は売上高と5つの利益から形成されています。

会社が1年間でどれだけ売上を上げて、
どれだけ仕入れて、
経費がどれだけ使われたのか。
そして最終的に、いくら儲かったのかを表す、いわば「会社の成績表」です。
財務三表の中で、社長さんからの人気が一番高いのが損益計算書でしょう。


★キャッシュフロー計算書★

キャッシュフロー計算書は
一会計期間のキャッシュ(お金や預金)の流れを表す一覧表です。

英語ではCash Flow Statement(キャッシュ・フロー・ステートメント)といい、
略してCF(キャッシュフロー)ともいいます。

キャッシュフロー計算書
 1. 営業活動によるキャッシュフロー
 2. 投資活動によるキャッシュフロー
 3. 財務活動によるキャッシュフロー
の3つの部門により形成されています。

キャッシュフロー計算書は
1年間にお金や預金がどのように使われたのか。
どのように増え、どのように減ったのか。
期末にいくら手元資金があるのかを表します。

キャッシュフロー計算書は税法が定める決算書には含まれていないため、
目にすることが少ないかもしれませんが、
会社の存続に一番重要な「キャッシュ」の流れがどのようになっているのかが分かる
重要な財務諸表です。


なぜ、こんなに何種類もの財務諸表が必要なのでしょうか。

会社の会計は「複式簿記」を元に作成されます。

複式簿記とは、一つの取引を複数の科目で記帳すること、
と言ってもイメージがつきにくいかもしれません。

売上(収益)が上がると売掛金(資産)が増えます。
旅費交通費(費用)を支払うと現金(資産)が減ります。
このような取引を表す手段が複式簿記なのです。

複式簿記により会社の全ての取引は貸借対照表と損益計算書で表されるので、
この二つは切っても切れない間柄なのです。

では、なぜキャッシュフロー計算書が必要なのでしょうか。
それは、会社の利益=キャッシュではないからなのです。

現在の商いでは、お店を構えた現金商売を営んでいない限り、
売上が上がった時点ではキャッシュは入ってきません。
仕入を行っても、支払は翌月や翌々月ということもあります。
また、借入金の返済も支払利息以外は会社の利益に何も影響を及ぼしません。
会社の利益は出ているのに黒字倒産なんてことも。

会社は赤字でも倒産はしませんが、
手元資金がなくなると簡単に倒産してしまいます。

貸借対照表や損益計算書では知りえない、
会社の存続に一番重要なキャッシュの情報を伝えるものとして
キャッシュフロー計算書は重要な役割を果たしています。


「財務三表」について、ご理解いただけましたでしょうか。

次回は、社長さんに一番人気の損益計算書の見方「5つの利益」について
お伝えしていきたいと思います。

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