「40年ぶりの民法大改正!!」 第2回

19.06.17 | ビジネス【相続】

相続の様相を大きく変える改正民法、今回は第2回目をお送りします。

「40年ぶりの民法大改正!!」第1回はこちら

 

〇介護した相続権のない親族による金銭請求が可能に

 

故人が亡くなった後、故人の介護に尽くした相続人以外の親族(例えば、長男のお嫁さんなど)は、相続人に対して金銭(特別寄与料)の請求をすることが認められるようになります。

※親族とは、6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族をさすため、今のところ「愛人、内縁の妻」や「同居人」 「親切なお隣さん」などからの請求は認められません。

 

ある女性の話です。

結婚して夫の家に嫁に入り、子供は授かりませんでしたが、夫の父親(夫の母親はずっとまえに死去している)と一緒に楽しく暮らしてきました。

結婚してから30年たったころ、夫を病気で亡くしてしまいました。その後も病気になった亡き夫の父親と仲良く、介護をしながら暮らしてきました。年月をさらに重ねていく中で、夫の父親は「自分亡き後、当面生活に困らないようにお金を残すからね」と言ってくれたそうです。

やがて、そんな夫の父親も亡くなりました。その夫の父親の財産を相続するのは夫の兄弟です。

このお嫁さんは、亡き夫の兄弟に「お義父さんは生前私に、当面生活に困らないようにお金を残してくれる、と言っていた」と伝え、お義父さんの遺産から一部自分に渡してくれるようにお願いしました。

しかし、「嫁に相続権はない」と一蹴。

この女性は、思い出だけを胸に、身の回りの物だけを持って、長年暮らした家をでて、別に暮らすこととなりました。

 

上記の女性は、遺言もなく、養子でもなければ、家を相続することはできませんが、もし、特別寄与料の請求をすることができたならば、これからの新たな生活の資金を持って、家を出ていくことができたかもしれません。

 

介護で尽くしてきた方々のご苦労が報われる画期的な改正です。

とはいえ、「貢献」といった数字で測れないものは、なかなか認めてもらえないのが実状です。介護する方は、介護日記や介護事業者との文面、介護に要した領収書などをこまめに残しておくとよいと思われます。

 

この改正は、2019年7月1日以後開始の相続から適用されます。

 

〇遺産分割前に、預貯金の一部を引き出すことが可能に

 

相続する預貯金については、病院代・葬儀費用の支払いや、相続人の生活費の不足に対応できるように、遺産分割の前でも一定額については、相続人の1人が単独で払戻しを受けられるようになります。(同一金融機関は、上限150万円)

現状、銀行は、死亡の事実を知ると即、預貯金の口座を凍結させます。遺産分割協議が成立して、相続人全員の署名・押印・印鑑証明書がなければ払い戻すことができません。

戸籍・印鑑証明書の取得、手続き書類の準備など、時間もかかり、相続人が遠方だと、さらに時間が掛かります。個人の預金を使いたいけど使えない状況が長期間に及ぶ場合も多々あります。

 

相続人一人でも手続きができ、上限額は銀行ごとで別となり、1行150万なので、2行だと300万円引出可になると思われます。

 

この改正は、請求するのが2019年7月1日以降であれば可能になります。

もう少し先ですね(^o^)

 

次回は、「婚姻20年以上で贈与・遺贈された自宅は、遺産分割の対象外に」

「不公平な遺言に対し、遺留分を金銭で支払わせることが可能に」をお送りします。

お楽しみに!!

 

お問い合わせは石原までお願いします。

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