「40年ぶりの民法大改正!!」 第4回

19.07.01 | ビジネス【相続】

相続の様相を大きく変える改正民法、今回は最終回、第4回目をお送りします。

「40年ぶりの民法大改正!!」 第1回はこちら

「40年ぶりの民法大改正!!」 第2回はこちら

「40年ぶりの民法大改正!!」 第3回はこちら

〇「配偶者居住権を新設(配偶者短期居住権と配偶者居住権)」

 

 ・配偶者短期居住権

配偶者が被相続人名義の家に居住していた場合に、被相続人の意思に関わらず、一定期間(相続開始の日から6ヶ月、または遺産分割協議が決まるまでのいずれか遅い日)、その家に住む権利が与えられるというものです。

例えば、遺言などで自宅を配偶者以外の人が取得した場合、いままではすぐに追い出されてしまう可能性がありましたが、出て行けと言われても、少なくても6ヶ月もの間は、無償で住むことができる権利を配偶者に与えるものです。ずっとではありませんが、権利で決められた期間は安心して、引越の準備・新たな生活基盤の準備ができるようになります。配偶者の当面の居住が権利として認められるという点で大きな意味があると言えるでしょう。

 

 ・配偶者居住権

配偶者が被相続人名義の家に居住していた場合に、その配偶者できるだけ長くその自宅に住み続けられるように、ということを意図して新設されました。

遺言もしくは遺産分割協議で、配偶者がその自宅を相続しなかった場合でも、その自宅に住み続けられる権利が配偶者居住権です。

具体的には、自宅を「配偶者居住権」と「所有権」に分け、配偶者と他の相続人が、別々に相続するもので、配偶者居住権は自宅に居住していた配偶者のみの権利です。

配偶者居住権は、遺産分割、遺言、死因贈与、家庭裁判所の審判などにより取得することとされています。

 

例えば、夫が亡くなった。相続人は妻と前妻の子。遺産は自宅:2,000万円と預貯金:1,000万円という場合

法定相続分=2分の1ずつ(妻:1,500万円、前妻の子:1,500万円)で遺産分割しようとしたとします。

妻が自宅を相続すると、妻が前妻の子に対して、遺産の1,000万円の他にあと500万円を渡さなければいけません。

そうすると、「お金がないから、家を売るしかない。そうすると住む場所もなくなるな」という事態になりかねません。

 

そこで、自宅の権利を配偶者居住権(1,000万円)と所有権(1,000万円)に分けたとします。

配偶者は、配偶者居住権:1,000万円と預貯金:500万円の計:1,500万円を相続、前妻の子は、所有権:1,000万円と預貯金:500万円を相続、という遺産分をすることも可能になります。

そうすると、妻は自宅に住み続けることができ、預貯金も相続することができます。前妻の子は、条件付きながら不動産の所有権が手に入り、預貯金も相続することができます。

 

配偶者の生活の保護という観点から、新設されました。

 

配偶者居住権は、2020年4月1日以後に開始する相続から適用されます。また、配偶者居住権を遺言で渡したい場合には、2020年4月1日以後に作成する遺言書から適用されます。

 

〇18歳から大人に!!

2022年4月1日から、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられます。例えば、現在20歳となっているが改正後18歳で可能となるのは、携帯電話の契約、ローン契約、公認会計士や司法書士、医師免許などの取得、10年有効のパスポートの取得、などなど(政府広報オンラインより)です。親の同意なしの単独契約、20歳以上と定められていた資格の取得が出来るようになります。 一方、飲酒や喫煙、競馬・競輪・競艇・オートレースなどの投票券を買う、養子を迎える、などはかわらず20歳にならないとできません。 

相続の関係でも、民法改正に合わせて18歳を基準とするようにかわる可能性があります。 相続が発生して遺産分割が必要な場合に、相続人に未成年者がいれば、その未成年者の特別代理人の選任が必要でした。しかし改正により、18歳の高校生が遺産分割に参加し、自分の考えと意思で、遺産分割の話し合いをするといったケースがでてくるようになるでしょう。また、税制の面では、相続税の「未成年者控除」、生前贈与の「相続時精算課税」など、相続人や受贈者の年齢が20歳以上という要件を定めていたものが、18歳以上に変わる可能性があります。

明治時代から約140年間、成人年齢は20歳と定められていました。「大人」の年齢が変わることとなります。18歳からさまざまな契約が出来るようになり、行動の幅も大きく広がりますが、その契約に対して責任を負うことにもなります。成人になる前から、法律や契約に関わる様々な知識・ルールを学び、正しく理解しておく必要があります。

 

全4回にわたり、民法改正の項目のうちピックアップしてご紹介いたしました。

 民法は、我々の生活に密接にかかわる法律です。特に相続などでは、その時に知らなくて、後でああしておけば・・・、などという話も聞きます。正しく理解し、相続や日常生活に役立てていただければ、と願っています(^o^)。

 

お問い合わせは石原までお願いします。

0258-35-3146

ishihara@eguchikeieicenter.co.jp

TOPへ