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無駄な時間は費やしたくない!『タイパ』重視の時代の考え方
23.02.20 | ビジネス【マーケティング】
『タイパ』とは、タイムパフォーマンスの略称で、費やした時間に対する満足度を表す言葉です。
映像コンテンツを倍速視聴したり、ショート動画を好んだりと、1990年代から2000年代生まれのZ世代の多くがタイパを意識した行動を取っています。
家事や買い物でも時間効率を重視する時代においては、時間に対してどのような考え方がビジネス成功するのでしょうか。
そのヒントを探るため、今回は、タイパとは何かについて解説します。
時間に対する満足度を求める傾向・タイパ
近年、若い人を中心に、タイパを重視した消費行動が広がっています。
タイパとは、かけた時間に対する効果や満足の度合いを表わす言葉であり、『時間効率』や『時間対効果』の同義として用いられます。
若者マーケティングを研究する『SHIBUYA109 lab.(シブヤイチマルキューラボ)』が15〜24歳のZ世代を対象に行った調査によると、タイパを「重視する」と回答したZ世代は85%にのぼりました。
それを裏づける行動の一つとして、映像コンテンツの視聴方法があります。
映像視聴で『ながら見』をすると答えたZ世代は81.3%、『倍速』視聴は48.6%、『スキップ』再生は51.5%、作品を楽しむ前にある程度の内容を把握しておく『ネタバレ』視聴は44.3%という結果でした。
この調査結果からは、Z世代の多くが効率的な時間の使い方を志向していることがわかります。
1990年代中盤以降に生まれたZ世代は、生まれた頃からすでにインターネットが普及していたデジタルネイティブであり、大量のコンテンツが供給され続ける環境で成長してきました。
そのため、Z世代の人はタイパを意識し、自分にとっての要・不要を効率的に取捨選択するスキルを自然に身につけてきたといえるかもしれません。
「ただ早ければいい」というわけではない
このようなタイパの意識は、生活のさまざまな場面での選択にも影響を与えています。
たとえば、日々の買い物について考えてみましょう。
「10円でも1円でも安く」と考えて、何軒もスーパーをハシゴし、1,900円の買い物をし、トータルの時間は2時間かかったとします。
一方、近くのスーパーですべての品物をそろえると2,300円かかりますが、40分で帰って来ることができました。
どちらの行動を選ぶかは人それぞれですが、2時間かけて1,900円の買い物をするより、400円高くても40分で済ませ、浮いた1時間20分をより有意義に使いたいとする考え方は『タイパ重視』といえます。
注意したいのは、タイパは、「ただ早ければ早いほどいい」という考え方ではないという点です。
映像コンテンツに関する調査にあったように、倍速視聴やスキップ再生をする若者が多く、一見すると「内容をじっくり味わわずに、早く済ませる」だけの行動のように感じるかもしれません。
しかし一方で、サブスクについてのグループインタビューでは、「何回も見たい作品があるが、家庭用録画機器だと記録容量を食ってしまうので、サブスクに入っている」「一回見れば満足な作品と、何回も見たい作品がある」といった意見がありました。
これは、すべてのコンテンツをできるだけ効率的に見たいというわけではなく、「自分の好きなものにはできるだけ時間をかけたい」「メリハリのある時間の使い方をしたい」という意識の表れであることがうかがえます。
言い換えれば、「無駄なことはしたくない・効率的に時間を使いたい」といった意識から無駄な時間を省き、その結果、浮いた時間を「より自分にとって充実した方法で過ごしたい」と考えるのがタイパを意識した行動であるといえます。
奥にあるのは時間の価値を高めたいという願い
先述のことから、タイパを重視する人に響くマーケティングを行うには、2つの方向性が必要であることがわかってきます。
それは、「効率的に時間を使う」ための方向性と、「浮いた時間を豊かに過ごす」ための方向性です。
これらは一見、反対の方向性に見えますが、実はどちらも個人の『時間の価値』を高めるものだといえます。
では、時間の価値を高めるためにタイパを重視する時代には、どのようなコンテンツやサービスが必要なのでしょうか。
一概にいうことは難しいですが、大切なのは、いかにユーザーに飛ばされない『キラーコンテンツ』をつくることができるかです。
キラーコンテンツという言葉は幅広い分野で使われています。
たとえばWebマーケティングにおいては、購入や資料のダウンロードなど、求める成果であるコンバージョンを生み出すコンテンツが該当します。
キラーコンテンツをつくるには、想定ユーザー像(ペルソナ )の深堀、購買に至るまでの思考・行動や顧客生涯価値(LTV) を踏まえたカスタマージャーニーマップづくり、カスタマーエクスペリエンス(顧客体験)の向上など、多くの手法が提案されています。
大事なのは手法の新旧にとらわれず、さまざまな角度から検討して試行錯誤すること、それぞれの手法にのっとった評価指標を設定し、効果測定と改善を繰り返し自社のコンテンツづくりのプロセスを磨くことです。
さらに、複数のコンテンツを公開し、そのなかから自社が求める成果が出ているものを自社のキラーコンテンツとしていきます。
成果を生み出すキラーコンテンツは、数あるコンテンツのなかでも特に貴重なものです。
キラーコンテンツができたら、自社メディアだけでなくオンライン広告やSNSなどでも利用したり、フォーマットを変えてオフラインでも活用したりと、さまざまなシーンで『使い倒す』ことがポイントです。
国語辞典などで知られる三省堂は、毎年『今年の新語』を発表していますが、2022年は大賞にタイパが選ばれました。
現在もタイパは注目されている用語であり、消費行動の一つの方向を示すものです。
自社のマーケティングの手法の一つとして、タイパを意識した手法を取り入れてみてはいかがでしょうか。
※本記事の記載内容は、2023年2月現在の法令・情報等に基づいています。
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