相続事例集001 亡くなったあとにわかる父親の想い

15.03.23 | ビジネス【相続】

前回は相続税の改正についてお伝えいたしましたが、今回からは相続の事例についても発信していこうと思います。


事例001 亡くなったあとにわかる父親の想い

お父様が亡くなったとのことで、ご長男のEさんから連絡をいただきました。

 

お話を聞かせていただくと、

相続人は子供が2名(長男と長女)でした。

子供たちは父親と15年近く離れて暮らしていて、父親の暮らしぶりはよく分からないとのことでした。

面談では、相続の仕組みと、相続財産とは何かなど、説明させていただきました。

 

Eさんは、「財産は、銀行と郵便局に預金が少しと、自宅と、掛け軸だけだと思うから、相続税の心配はないと思うが、相続の手続きはしないとね」と、当初はおっしゃっていました。

 

まずは、財産を調べました。

 

金融機関から亡くなった日の残高証明書を取り寄せ、市町村からは不動産の名寄せ帳を取り寄せます。同時に、通帳は取引履歴を確認します。また、掛け軸はご家族にとっても思い入れがあるとのことで、この機会に鑑定もしていただきました。

 

財産の調査の結果、預金は当初思っていた金融機関だけでなく、他の2行にも預け入れをされていて、総額3,000万円ほどでした。自宅の相続評価額は、2,000万円、掛け軸は鑑定の結果、200万円でした。

預金の取引履歴の調査から、証券会社で上場株式の取引及び投資信託をしていることが分かり、評価額は合計で2,500万円でした。

また、子供2人それぞれを受取人にした保険に加入していることが分かり、保険金額はそれぞれ1,500万円でした。

 

Eさんが、財産を調べながら家の中を整理していると、父親の部屋の机から手紙が見つかりました。そこには、離れて暮らしていても大切に思う子供たちへの感謝の気持ちが綴られていました。そして、何十年もずっと子どもたちが続けてきた父親への仕送りと自身の年金等を大切に保管し、いずれ家を建てる時の資金にしてほしい、との気持ちも綴られていて、質素な暮らしをしてきた父親の相続財産が思いのほか多かった疑問も解消しました。


互いを大切に思う、家族みんなで築いてきた財産であると、確信しました。


このご家族が遺産分割と相続税申告を無事に終えることができたことは言うまでもありません。


離れて暮らしていると、思いや財産の内容などなかなかわからないものです。
Eさんのような家族ばかりではありません。元気なうちに、ご家族に想いや財産の状況は伝えておきたいものですね。

 

次回は、その想いや財産の状況を伝える有効な方法として、「エンディングノート」についてご紹介いたします。




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