相続事例002 伝わった思い。エンディングノートの効用

15.03.30 | ビジネス【相続】

本日はエンディングノートについての事例をご紹介します。

ある日、Aさんから、父親が亡くなり相続税の心配があるが、どうしたらいいか分からないと、連絡をいただきました。

父親が亡くなりまだ4日目という早い時期でしたが、Aさんのご希望でしたので、ご訪問させていただきました。

家族の関係を確認させていただくと、相続人は、Aさん(長男)と弟(二男)、そして妹(長女)の3人です。その時点の相続財産は、自宅を含めた不動産、庭園設備、預貯金などで、総額9千万円程でした。


「何故弊社にご連絡いただいたのですか?」とAさんに尋ねると、過去に弊社が行った相続税やエンディングノートのセミナーに、Aさんの父親も参加されていたことがわかりました。

 
「もしかして、エンディングノートがあるかもしれない」と思い、Aさんに調べていただくと、部屋の机の真ん中の引出に、封筒に入ったエンディングノートがありました。

確認すると、初めに調べた相続財産の他に、証券会社に有価証券が預けられていることと、別の預金口座があることが分かり、遺産総額は1億3,000万円になりました。


エンディングノートには、「この預金口座は、子供たちの為のものであり、何十年も子供たちそれぞれを思って、少しずつ蓄えてきたお金である、それぞれ同額ずつあるので、心置きなく使って欲しい」と書かれていました。また、家族との思い出、子供たちへの思いなどが綴られていて、思いやりにあふれた内容でした。


 はじめは、相続というと「争いやお金」というイメージがあり、Aさん兄妹たちの間も、どことなくぎこちない感じでしたが、エンディングノートが見つかってからは、互いをいたわり、協力して相続をしていこうという思いが伝わってくるようになりました。


 また、エンディングノートには、自分に万一のことがあった時に連絡してほしい人が書かれていて、ご葬儀に呼べなかった方々にもお知らせすることができました。さらに、昔に人から借りた本を返していないことが気がかりで、自分は体が悪くてできないので、もしできたら返してほしい、と書かれていました。後日、そこに書いてあった住所にAさんが手紙を送ったところ、返事が来て、無事に本を返すことができ、貸主にも大いに感謝されたとのことでした。


父親の思いを果たせたと、Aさんは大変喜んでいました。

相続が無事に済んだことは、言うまでもありません。


エンディングノートを通して思いが伝わり、相続財産調査も進み、エンディングノートの効用を強く感じました。

思いを伝えることや、残された家族が困らないように備えることは大変重要です。


次回は、更に自分の意思を伝えること、ということで「遺言」の事例をお送りいたします。

相続に関するお問い合わせは石原までお待ちしております。
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