相続事例006 諦めないで探してよかった

15.04.27 | ビジネス【相続】

本日は相続の困った事例をご紹介します。


相続人にとって、故人の財産を調べることはとても苦労する作業です。

ある日、Mさん(仮名)から、「母が亡くなり、相続の手続きでとても困っている」とお電話をいただきました。



お話を伺い、戸籍を確認させていただくと、Mさんの父親は15年前に病気で亡くなっており、相続人は、長女(Mさん)と次女(Mさんの妹)の2名です。お二人とも母親とは離れて暮らしていましたが、同じ市内であり、よく行き来はしていたようです。姉妹仲が良く、お写真等を拝見させていただくと、親子の仲も非常に良かったようです。また、Mさん姉妹は非常にしっかりされていて、そんなに困ったことがあるのだろうか、と考えてしまうほどでした。


ほどなく、Mさんから「相談事のことですが、言うよりも見た方が早いと思います」と、ご案内いただいたのは、母親の部屋でした。ドアを開けた瞬間、なんとなく理由がわかりました。


そこには、預金通帳の山、銀行・証券会社・投資会社などからの通知関係の書類、宝石類の購入関係書類、他様々な書類が、数多く置いてありました。しかもどれも最近の書類等ではなさそうです。お話を伺うと、母親は書類などを捨てない方で、ずっと部屋に積み重ねられていたようです。Mさん姉妹も何度か片づけを手伝おうとしたようですが、何がいるものでいらないものなのか分からないので、最近まで手を付けていませんでした。


ちょうど2か月前に、母親がやっと重い腰を上げ、Mさん姉妹も手伝い、書類などを片付けたようです。母親はそれからほどなく体調を崩し、亡くなってしまったとのことでした。


そのときに、間違って新しい書類を捨てて、古いものを残してしまったようです。


これでは、どこに何があるか分かりません。Mさん姉妹も、母親のお金などのことは全然わからないとのことでした。


まず、古い書類でも、預金、投資、購入品といったように分類し、会社ごとに分けました。それから、金融機関はすべて残高の照会を行い、購入品は物の実在を確認(母親は家の至る所に購入品を配置していました)し、リスト化しました。また、ごく最近の郵送物を確認し、有価証券・物品の購入履歴などを調べました。考えられる金融機関、物を購入していたと推測されるお店など、多くの先に確認しました。


数か月かかりましたが、結果として、預金・投資関係で数千万円、価値ある購入品が30数点あることがわかりました。


その購入品を調べる中で、販売したお店の店主から、


「母親が商品を選んでいるときに、『これは長女(Mさん)が好きそうだな、これは次女に似合いそうだな』などと話していた」ということも聞くことができ、Mさん姉妹も喜んでいました。


Mさん姉妹は、母親はお金をずいぶん使っていたようだから、あまり残っていないだろうと思っていたそうです。

諦めずに調べたら、思っていたより多く残っていて、すごく助かったようです。はじめは諦めかけていたMさん姉妹でしたが、最後の手続きが終わった時には、安堵され、喜んでいました。


ただ、「たとえ最近の書類が残っていたとしても、それが整理されてなく、何が必要なものか残された者にわからなければ、同じように苦労したかもしれないね」と話されていたことが、心に残っています。

 

相続のときには、「何が」・「どこに」・「いくら」あるのかが重要です。生きている間に、それも元気なうちに、いるものといらないものを整理すること、そして何がどこにあるのか、更に付け加えるのなら、それをどうしたいか、を分かるようにしておくことが重要です。


ですので、エンディングノートを活用し書き残しておくこと、財産目録を残しておくこと、また遺言を検討すること、など残された者たちのことを考え、出来ることはいくつもあります。気持ちのある時に、すぐ行動することが肝要です。

 

次回は、今までの事例の総まとめとして、相続時の考えられる問題、相続に対して準備しておくことをお伝えします。

 

相続に関するお問い合わせは石原まで。

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