有限会社 サステイナブル・デザイン

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ぐるぐる天国®経営通信150930号(Vol.8)

15.09.30 | オトク情報

ラグビー歴35年×経営コンサルタントの視点で、今話題のラグビー日本代表について考察してみました!

1.南アフリカに劇的勝利!その先は?
2.どうして逆転トライを狙いにいけたのか?~ラグビーにおけるキャプテンの役割~
3.それでは、ヘッドコーチ(監督)の役割とは?
4.応援しましょう!

1.南アフリカに劇的勝利!その先は?

ラグビー日本代表が南アフリカを破る大金星を上げました。 
34-32と僅差、最後の最後の1プレーでの逆転トライでの劇的勝利。 
ラグビー始めて35年、もっとも感動した試合の1つです。 

20年前、NZオールブラックスに喫した歴史的な17-145の敗戦以来、トラウマのように残っていた屈辱の気持ちも、一挙に晴れたようです。 
大げさかもしれませんが、個人的には、日露戦争的出来事と思っています。 

そして、第2戦のスコットランド戦で、初めてラグビーの試合をまともに観た、という方も少なくないでしょう。 
残念ながら後半20分過ぎまで拮抗した試合展開でしたが、その後大崩れして、結果は10-45の大敗。 

良いところが出尽くした南ア戦、悪いところが出尽くしたスコットランド戦。 
このようにパフォーマンスの振れ幅が大きく、「失点力」が大きいのが地力です。 
地力ですから、これ自体は大会期間内に改善できないでしょう。 
全チームが2試合終えたところで、日本の77失点は、20チーム中ワースト4位です。 

しかし、南ア戦でできたように、パフォーマンスを振れ幅の上限に近いところにもっていくゲームマネジメントは可能ですし、それができれば、サモア(10/3)・アメリカ(10/11)には勝つことができます。 
3勝1敗で予選プールを終えることができれば、まず、大成功といえます。 
なにしろ、前大会まで1勝しかしていないわけですから。 
望むらくは、それぞれ4トライ以上あげてボーナスポイントを2点積み重ね、3勝×4点+2点=14点としたい。 

その上で目標としているベスト8、すなわち決勝リーグ進出は、ほぼ、南アとスコットランドの直接対決(10/3)の結果にかかっています。 
これは日本代表にはコントロールできない問題です。 
自らコントロールできる2試合で、ベストパフォーマンスを出すことに集中するのみです。 

さて、ラグビーそのものの話はこのくらいにして、本題です。
あくまで私自身の経験にもとづく独断ですが、今回のW杯、こんな風に見ています、というお話です。
こういう観点からみると、また面白くなるのではないでしょうか?

2.どうして逆転トライを狙いにいけたのか?~ラグビーにおけるキャプテンの役割~

ラグビーというのは、フィールド内15人で、世界で広くプレーされている球技では最大のプレーヤー数です。 
これを上回るのは、オージーボール(18人)くらいでしょう。 
アメフトは、たくさんプレーヤーがいるように見えますが、フィールド内は11人です。 

20年ほど前までは、負傷交代以外の選手交代は認められず、原則15人で最初から最後まで戦いました。 
往年の日本代表ウイングで、足を骨折しながらも、最後まで出続けた強者もいたそうです。 
今は8人まで戦術的入替できるので、1試合に最大23人まで出場可能ですが、あくまでフィールド内は15人です。 

なぜ15人という規定になったのかまでは調べが及びませんが、経験則としては理解できます。 

なぜなら、ほとんどの組織が、大きくてもこのくらいの規模だからです。 

日本の企業の93%、385万社が20人以下の規模です(総務省平成24年統計センサス)。15社あれば、14社は20人以下。 
逆に言うと、20人を超える企業は15社に1社しかありません。 

そうした企業ではピラミッド型組織になっているでしょう。 
100人以上の上場企業を対象にした産業能率大学第2回「上場企業の課長に関する実態調査」によれば、課長さん1人当たりの部下の数は10.64人。 
規模の大きな組織でも、現場は数人~10数人で回している、ということですね。 

ちなみに。テレビで有名になった「ビッグダディ」一家。ご本人も11人兄弟の1員だそうです。ビッグダディ一家の子供の数は総勢18人。 
どんなに大家族でもこのくらいまで。 

ついでながら、ガラパゴス諸島での観光ツアーは、ガイド1人につき観光客16人まで、という規制になっています。 
かつては21人でしたが、だんだん減ってきて16人に落ち着いています。 

おそらく、15人くらいというのがヒューマンサイズで、1人のリーダーが統制をとり、一体的にコントロールできる人数の上限なのではないでしょうか? 
ラグビーにおいては、この1人のリーダーとは、キャプテンです。 
日本代表のキャプテンはリーチ・マイケル選手。 
南ア戦では、試合終了間際、3点負けている場面で、3点のPKで同点ではなく、5点のトライをとりにいく決断をしました。 

この場面に象徴的に現れているように、ゲームが始まったら、終わるまで、基本的にゲームマネジメントはキャプテンが行うのがラグビーです。 
しかも、リーチ・マイケル「選手」と書いたように、彼は1プレーヤーとして粉骨砕身の働きもしました。 
つまり、ラグビーにおけるキャプテンの本質とは、プレーイング・マネージャーなのです。 

20人以下の企業であれば社長さん自ら、大企業であれば現場の課長さんが、陣頭指揮をとっているようなものです。 

3.それでは、ヘッドコーチ(監督)の役割とは?

日本代表にはエディ・ジョーンズというヘッドコーチ(HC)がいます。ひらたくいえば監督ですね。 
彼が試合中テレビに映ったとき、どこにいたでしょうか? 

スタンドですね。他のチームのヘッドコーチも同じです。どこでも同じです。 
ヘッドコーチは、ゲームを外から見る立場なのです。 
試合中にできるのは、選手交代・入替の判断と、ハーフタイムの修正指示くらいのものです。 

南ア戦の最後のプレー、密集からボールを出した後半出場の日和佐選手は、誰に投げるか何人かチョイスがある中で、立川選手(負傷したウイング選手のかわりに先発)にパス。 
立川選手は1人飛ばして、後半に投入したマフィ選手へパス、そして終了間際に投入したヘスケス選手へとボールが渡り、劇的逆転トライになりました。 
ジョーンズHCの用兵(人事)の勝利でもありました。 

対戦が決まってから、緒戦の南ア戦対策を練りに練ってきたでしょう。 
あの勝利は、長期間のチームビルディングの賜物でもあります。 

対してスコットランド戦は準備期間3日間と短く、疲労もありました。 
南アに比べて研究・対策の質・量とも不足していたでしょう。 
スコットランドは緒戦で、今W杯での調子も不明です。 
いろいろ不利な条件も重なりました。 

それでも、前半10-20分にかけて、敵陣でのハンドリングエラーと自陣でのペナルティ多発を修正できていれば、前半を勝ち越しで折り返せた可能性は高く、そのまま押し切れた可能性も十分にあったのではないでしょうか。 
後半の五郎丸選手のキックが外れたのは、たしかにターニングポイントでしたが、私の見立てでは、勝敗の分かれ目は前半の前半でした。 
ラグビーは結局のところ点数勝負ですから、スコアを積み重ねた方が心理的に優位に立つのです。 

ベンチから1球ごとに事細かにサインを出す野球の監督や、ピッチに立って選手に直接指示を出すサッカーの監督だったら、
あるいは、タイムアウトをとって指示を出せるバレーボールの監督だったら、直接ゲームに介入して悪い流れを断ち切り、立て直すことができます。
しかし、ラグビーの監督は、よくも悪くも、それができませんし、それをする役割でもないのです。
キックオフの笛が鳴ったら、ノーサイドの笛が鳴るまで、ゲームマネジメントはキャプテン率いる現場に任せられます。

一方、ノーサイドの笛から次のキックオフの笛までのチームビルディングこそ監督の仕事です。
スコットランド戦からサモア戦まで9日間、アメリカ戦までさらに8日間と、休養は十分にとれます。 
ここでの修正指導と、次の試合の戦略・戦術の設定に、ジョーンズHCの真価を見ることができるでしょう。 
代表選手は31人、そのほかにもコーチやトレーナーはじめ、多くのスタッフから構成されるのが代表チーム。 
HCはそのトップマネジメントでもあるのです。 

これはさしずめ、50人、100人規模の企業の経営者と同じです。 
大企業であれば、本部長や部長さんといったところ。 
営業・現業活動はキャプテンに任せ、間接部門を含む全体を統括する立場です。 
実際、日本ラグビー協会という組織からみれば、代表チームは重要な一事業部門に違いありません。

4.応援しましょう!

新国立競技場問題が持ち上がるまで、ほとんど忘れ去られていた2019年のラグビーワールドカップ日本開催。 
ここで盛り上がったラグビー熱が続いたら、嬉しいかぎりです。 
そのためにもあと2戦、勝ちきってほしいです! 応援しましょう!

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