TFSグループ/TFS国際税理士法人 理事長 山崎 泰

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“フリーライド”という経営リスク ~「フランク・ミュラー」vs「フランク三浦」~

16.09.15 | 経営全般

■ 世の中には、思ってもみなかったことが・・・

今年は、予期せぬ台風に次ぐ台風。
皆さま、大丈夫だったでしょうか?
針路変更した台風が北海道・東北地方を襲うなど、“これまで思ってもみなかった”出来事に日本列島が大きく揺れました。

ビジネスをしていても、“思ってもみなかった”ことが・・・起こらないとは限りません。

今月は、実際に裁判にまでなっている、“思ってもみなかった”こんな出来事をご紹介しながら、ビジネスに潜むリスクをご一緒に考えてみたいと思います。


(つづく)

■ 「フランク・ミュラー」vs「フランク三浦」

「フランク・ミュラー」といえば、スイスの高級腕時計メーカー。

その「フランク・ミュラー」の名をもじったパロディー腕時計を、大阪の会社が実際に製造販売しました。

2012年3月、この大阪の会社は、自社で製造したその腕時計を、
なんと「フランク三浦」として商標登録出願。

2012年8月、特許庁は「フランク三浦」の商標登録を認めます。

しかし、これに怒った!!「フランク・ミュラー」の商標権管理会社からの請求に基づき、
2015年9月、特許庁は「フランク三浦」の商標登録を無効とした一件です。


ここまでは、フムふむ・・・
そんなパロディー商品、認められるわけが?!?といった感じでしょうか。

商標登録を取り消された会社は、憤懣やるかたなく、特許庁の判断を不服として、
特許庁の判断を取り消すように求め、裁判に訴えます。

そして訴訟の判決が、今年2016年4月に知財高裁でありました。

知財高裁は、特許庁側ではなく、なんと「フランク三浦」側を勝訴とする判決を言い渡したのです。


■ 「タダ乗り」論争は、最高裁にまで・・・

「フランク・ミュラー」側は、

「語感が極めて似ている」
「当社のブランドや顧客吸引力への、まさに“タダ乗り”

だと主張して、特許庁に商標登録の取消を申し立てました。
その申し立てを受けて、2015年10月、特許庁もいったんは商標登録を取り消します。

しかし、商標登録の取り消しを不服として、大阪の会社が提訴した地財裁判では、

「呼称は似ているが、イメージや外観が大きく違い、明確に区別できる」
『フランク・ミュラー』は、多くが100万円を超える高級ブランド」
「かたや、せいぜい4,000~6,000円程度、
 しかも“完全非防水”とまで謳った低価格商品『フランク三浦』と混同するとは、到底考えられない」
と判示。

大阪のパロディー時計が、フリーライドではなく、
レッキとした“お笑い時計”として、世に認められた瞬間です。

知財高裁の判決を不服とするフランク・ミュラー側は、5月23日、最高裁に上告。

いよいよ、パロディー時計が、最高裁まで争われる事態に!


■ 「世の中、こんなことってあり得るんだ~~」

善悪論、倫理観、そして湧き上がってくる感情は、人によって区々だと思います。

今回は、個々の感情は少し脇に置いて、
「世の中、こんなことってあり得るんだ~~」という視点から、
フリーライドはじめ様々なビジネスに潜むリスクを、
いったん立ち止まって考える機会にしていただければと思うのです。

ちなみに「フランク三浦」氏は、人前にはほとんど顔を出すことのない関西人、
謎の天才時計師とも言われているそうです。

フランク三浦」が製造する腕時計は、
amazonのオンラインショップでもすぐに検索できるくらい、
「洒落たデザイン」「パロディーのノリ」「低価格」を追求したパロディーウォッチとして、
知る人ぞ知る商品でもあります。

外国などでよく売っている、一流ブランドの偽物とは異なるところが、
日本らしいというか関西人らしいというか(関西の方、ゴメンナサイ。。。)


■ “完全非防水”を売りにする腕時計???

腕時計の文字盤を見てみると、確かにFrank Miura(フランク三浦)と、
時に漢字も併記して書いてあります。

似てはいるものの、FRANCK MULLERとは、明らかにスペルが違います!

そして、フランク三浦」「完全非防水」「ジャパンクオーツ」と、あえて違いを誇張するかのような、
むしろ「フランク・ミュラー」と間違えて欲しくないかのような商品説明までなされているのです。 

うっ!ウウッ! ここまで表示されていて・・・

「100万円以上もするフランク・ミュラーの高級腕時計を買おうと思っていたのに、
数千円のフランク三浦に騙された?!」といえるのかどうか?

もしかすると、最高裁の裁判官も考え込んでしまっているかもしれません??? 


■ “フリーライド”という経営リスク


「フリーライド」とは、まさに「タダ乗り」です。

社会や他社が築き上げてきた信用や名声に、自らコスト負担することなく、スッとタダ乗りしてしまうこと。

フランク・ミュラーのような有名ブランドの名前に、スッとタダ乗りしてしまう。
学校給食を食べているのに給食費を払わない。
相応の防衛費を負担せず、他国に防衛を任せ、自国は経済発展に注力・・・

などという場合にも、「フリーライド」という言葉が使われることもありました。

ビジネス的には、必要な経済的・時間的・労力的コストを負担せずに、
社会サービスや他社の信用力に乗ってしまうこと。

もちろん、悪意でない場合も含まれます。

翻って、日々、費用対効果を考えながら、
様々なアイディアや創造性で、他社との差別化を競う現代社会。

もしかすると、知らず知らずのうちに、"フリーライド"したり、"フリーライド"されているリスク・・・
あるかもしれません。

ちなみに、税金や公共料金などを負担せずに社会サービスだけを受けること、
これも立派な"フリーライド"です。

会計人として、どうしても最後はこんな視点に行き着いてしまいます!?

しっかりと支える側に回りたいものです。


  平成28年(2016年)9月
           山  崎  泰

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