税理士法人ユリウス

相続発生!さあ、どうする?①

18.02.05 | コラム(相続税)

大切な家族の方が亡くなり、悲しみの中で葬儀も何とか無事に終了。
そして、たいてい落ち着いた頃にふと思うのが、「さて、遺産はどのくらいでどう分けようか?」、「相続税が発生するんじゃないだろうか?」ということではないでしょうか?

特に相続税に関しては、平成27年から基礎控除が引き下げられ、富裕層以外の一般庶民にも無関係ではなくなった、税率が引き上げられた等のマスコミ報道もあって不安に思われている方も多いと思います。

 確かに相続税については、法律改正により平成27年1月1日以降の相続開始からは基礎控除額が引き下げられ、相続税の申告書提出件数は倍くらいになったと言われています。
 基礎控除額とは相続財産の額から差し引くことができる額のことであり、つまり亡くなられた方の財産がこの基礎控除額に達しなければ、相続税は発生しないということになります。

 さて、この基礎控除額ですが、法律改正により平成27年相続開始後の計算式は下記の通りとなりました。
 
 【3,000万円+600万円×法定相続人の人数 】
 
 ちなみに改正前の基礎控除の計算式は、5,000万円+1,000万円×法定相続人の人数でした。

 例えば、夫が死亡して残された相続人が妻と子ども2名で計3名の場合、法律改正前では基礎控除額が8,000万円でしたが、改正後は4,800万円になりました。

 つまりこの例でいくと、平成26年以前に発生した相続では相続財産が8,000万円以上なければ相続税は発生しませんでしたが、平成27年以降開始の相続では4,800万円以上の財産があれば、相続税の対象になってくるというになります。
 先程、相続税の申告書件数は倍増したと述べましたが、この法律改正によって相続発生件数に対する相続税申告書対象件数は約4%から8%になったということです。

 しかし、逆に考えるといくら基礎控除が引き下げられたと言っても、100人中92人の人は、まだ相続税とは無関係ということになります。
 都内の一等地に自宅を構え、ある程度の預金がある相続人が1~2人の家庭だと影響があるかもしれませんが、ある一定の要件を満たせば、自宅の敷地の評価額は大幅に減額される等の法律もあり、やはり相続税の影響を受ける家庭は、まだ圧倒的に少ないと思っていいでしょう。
 
 まずは、相続開始日現在で相続財産が全体でどのくらいあるのか洗い出し、基礎控除額に達するのかどうかの確認を行うことです。

 基礎控除額に達しなければ、相続税は一切かかりません。  
 また、税務署への届け出も不要です。

 正しい知識があれば、過度のマスコミ等の報道に慌てることなく、冷静に対応することが可能です。

植田ひでちか税理士事務所
税理士 千田 啓介

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