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絶対評価だけでは準備の半分に過ぎない

14.06.29 | ビジネス【人的資源】

ブラジルで開催中のサッカーW杯は、
さまざまな「決断」の連続だ。

出場32か国を率いる監督は、
自チームの試合結果はもちろん
同じグループのライバルの成績を考慮し、
さらには決勝トーナメントへ勝ち上がった場合の
対戦相手も計算しながらゲームに臨む。
複眼的な考えに立って、
チームを率いていかなければならないのだ。

スポーツの視点からみる人的資源

積極的に攻めるときなのか。
それとも、相手の攻撃を耐える局面なのか。
体力を温存して、来るべき好機に備えるのか──

サッカーのピッチで下されるそうした決断は、
企業経営にもつながるところがあるだろう。

たったひとつの判断ミスが大きなダメージに
つながりかねないのも、
ビジネスマンが直面する苦悩に重なる。
 
開催国のブラジルを率いるルイス・フェリペ・スコラーリ監督に、
「決断を迷う瞬間はないのか?」と聞いたことがある。

自国のメディアからすさまじいプレッシャーを受けている彼は、
「ないことはないけどね」と柔和な笑みを浮かべた。

「監督の決断というのは、状況によってさまざまさ。
こっちが万全の準備をしたつもりでも、
相手が予想を上回るプレーを見せることだってある。
相手のプレーは想像通りでも、自分たちの選手がなぜか動きが悪いこともある。
サッカーではむしろ、予想通りにいかないことのほうが圧倒的に多いと言えるね」

大切なのは、とスコラーリは続ける。

「自分たちの力を正しく把握しつつ、相手の力をしっかり見定めることだ。
自分たちのことしか考えずにゲームに挑むのは、半分しか準備をしていないのと同じだ」

自分たちの現在地としての絶対評価と、
相手との力関係から長所と短所をはかる相対評価が必要だと、
スコラーリは指摘しているのだ。

スポーツの世界だけでなく、企業経営や組織の運営にも当てはまるリーダーの視点だろう。


[プロフィール]
戸塚 啓(とつか・けい)
1968年、神奈川県生まれ。法政大学法学部法律学科卒業後、雑誌編集者を経てフリーのスポーツライターに。新聞、雑誌などへの執筆のほか、CS放送で欧州サッカーの解説なども。主な著書に『不動の絆』(角川書店)、『僕らは強くなりたい~震災の中のセンバツ』(幻冬舎)。
 
[記事提供]

(運営:株式会社アックスコンサルティング)

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