有限会社 サステイナブル・デザイン

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人間関係が面倒くさくなるワケとは?

19.12.25 | 職場づくり

私の大学時代の専攻は社会学。
社会とは何かというと、
定義はなかなか
難しいのですが、
最低限の要件は
「人が2人以上いること」
と教わりました。

職場の人間関係は目に見えない

人が2人以上いれば社会ですから、
家庭も社会、
学校も社会、
そして職場も社会です。

2人以上の人がいるわけですから、
必ず、人と人の関係、つまり人間関係が存在します。

ただ、人は目に見えますが、関係は目に見えません。
見えないものをマネジメントするのは、難しいものです。
したがって、人間関係のマネジメントは、
どの職場でも悩みのタネです。

人間関係は指数関数的に複雑化する

多くの企業様のコンサルティング、
経営者のお悩み相談をしていると、
人間関係のお悩みが急増する、
閾値がありそうだ、と感じます。

それは、組織の規模が5人を越えた
あたりから始まり、7~9人あたりで
多くの経営者がカベにぶつかったと感じています。

実はこれにはワケがあります。
そのワケを知っているか知らないかで
気の持ちようは大きく変わってきます。

まず、人間関係そのものは目に見えませんが、
数値化することはできます。

これが、その計算式です。

n(n-1)÷2
n:組織の構成人数

計算すると、

n=1→関係の数は0(自分1人、社会ではない)
n=2→関係の数は1(社会になる)
n=3→関係の数は3(三角関係、3すくみ構造)
n=4→関係の数は6(以後、人数<関係の数、その差はどんどん広がる)
・・・

といった具合です。
ご自身の院では、どうなるでしょうか?
ちょっと、計算してみてください。

ちなみに、組織のリーダー(院長先生)と構成員(スタッフ)の関係の数は、
雇用しているスタッフ数と同じです(n-1)。

n=4のとき、院長先生1人とスタッフ3人。
院長先生が直接関わる関係の数は3、
そうではないスタッフ同士の関係の数も3。
ここまでは、ギリギリ、院長先生と個々のスタッフの
直接の関係性を通じて、マネジメントが可能です。

これが、n=5になると、院長先生1人とスタッフ4人。
院長先生が直接関わる関係の数は4、
そうではないスタッフ同士の関係の数は6。

そうです。
院長先生の知らないところで起きていること、
直接影響力を及ぼせない関係の方が
大きな力を持ち始めるようになる臨界点がn=5なのです。

n=10になると、院長先生1人とスタッフ9人。
n(n-1)÷2で計算すると、関係の数は45、
院長先生が直接関わる関係の数は9、
そうではないスタッフ同士の関係の数は36。

計算と文章だけではちょっと難しいので、次に、
図にして見える化してみましょう。

この記事に添付してある10角形図の赤い点が、ご自身だと思ってください。
グリーン・イエロー・ブルー・オレンジの点が、スタッフです。
(自分以外の歯科医師、衛生士、助手、事務、といった感じですね)

赤い線が、ご自身が直接影響力を及ぼせる関係。
グレーの線が、そうではない関係。

こうして、組織の規模が10人に至るまでには、
人間関係は段違いに難しくなり、手に負えない、
と感じるようになるわけです。

5人の「カベ」を越えるか越えないか

こうしたわけで、5人前後、あるいは10人前後で
人数が増えたり減ったりを繰り返している企業が
少なからず存在します。

これが組織の成長の「カベ」の1つで、
ススっと難なく通り抜けられる経営者は少数派です。
そこで、7-9人くらいから、人にまつわるお悩み相談が
急増してくるのです。

ちなみに経済センサスという統計でみると、
日本の中小企業(個人事業主含む)の76%が4人以下です。
5人というのは、経営者にとって、なかなか厚い「かべ」だとわかります。

チームスポーツを考えてみても、ほとんどの競技で、
1チームの人数は5-6人までとなっていて、
野球の9人、サッカーの11人、ラグビーの15人などは
実は例外的に多い方です。

そういえば、学校などの「班」は、たいてい5-6人規模では
なかったでしょうか?

こうしたことから、特別なスキルや訓練なしで、
誰でもマネジメントできる組織の規模は5-6人くらいまで、
というのが、人類の経験則なのではないか、と私は考えています。

ですから、ここで「カベ」にぶつかっていると感じること自体は
特別なことでもないし、自分だけでもない、と安心しても
いいのかな、と思います。

一方で、それ以上の規模に成長していきたいならば、
今まで知らなかった、それなりのスキルや訓練が必要だ、
ということでもあります。

人にまつわるお悩み相談には、
この解説をした後で、この「カベ」を
越えていきたいですか?
そうでもないですか?
と問いかけます。

その答えによって、将来像や経営戦略は大きく変わってくるからです。

あなたの場合は、どうでしょうか?

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