税理士法人ユリウス

第7回 発生主義会計で月次決算を行う

14.10.14 | 【連載】会計で会社を強くする!月次決算の活用方法

会計の方法には、現金の収支という事実・入出金時に売上高、変動費、固定費を計算する現金主義と、資産の取得や商品などの「物」の引き渡しが行われた時に、売上高、変動費、固定費を認識する発生主義があります。

現金主義では、商品在庫や信用取引(掛売上や掛仕入れなど)があると売上と変動費の対応が困難です。一方、発生主義は、会社の正しい業績が反映した月次決算が作成でき、その利用価値は高いといえます。

月次決算は発生主義で行わないと損です!

発生主義会計は精度の高い月次決算が作成され、それ以外にも会社によって重要なメリットがあります。

それは、タイムリーな帳簿記録を活用することで、「販売管理、購買管理、在庫管理」など重要な管理業務をしっかり行うことができる点です。

現金主義会計はこれらの管理が曖昧になり、ロスが発生しても気づけなくなり、損をしても気づけなくなります。

(1)販売取引の場合
 現金主義では現金が入金されたタイミングで売が計上されます。つまり商品が出荷された時点では何も記録されないということになります。

 これでは相手先にいくら売掛金が発生し、現在の未回収残金が把握できません。

 発生主義では、出荷時に売上が計上されるため、納品のタイミングで得意先に対する売掛金の管理がスタートすることになります。

 商品の引き渡しと同時に、売掛金を記録し在庫の出庫も記録される発生主義会計だからこそ、モレなく売掛金を計上でき、債権管理や商品在庫管理が可能となります。


(2)購買取引の場合
 現金主義では現金が支出されたタイミングで仕入計上されます。

 これではどの相手先にいくら買掛金があり、いつ支払わなければならないかわかりません。

 さらに商品別入庫まで管理できなくなり、在庫管理も帳簿上では何もわからなくなります。

 それに比べて、発生主義では「納品」時に仕入が計上されますから、納品のタイミングで仕入先に対する買掛金の管理がスタートしています。

 仕入の計上と同時に買掛金、在庫の入庫がしっかり記録されている発生主義会計だからこそ、帳簿上において買掛金管理、商品在庫管理がしっかり行うことができます。


(3)その他の発生主義のメリット
 発生主義には、次のようなメリットがあります。

 1 「物の動き」に着目した帳簿記録が求められるため、売上と変動費の対応がしっかりと計算できる。
 2 現金収支にとらわれず経費が発生したときに固定費として認識される。
 3 経費の発生と支払いのタイミングのズレや資金支出を伴わない経費(減価償却など)が記録される。

 したがって、会社の正しい業績が反映した月次決算書が作成できます。
 このように作られた決算書は利用価値が高い、経営に役立つ月次決算書となり、経営計画策定の根拠になるわけです。

 
(お問い合わせ先)
  植田ひでちか税理士事務所
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