税理士法人ユリウス

第9回 貸借対照表を読みこなそう!

14.10.28 | 【連載】会計で会社を強くする!月次決算の活用方法

代表的な財務諸表である貸借対照表。

各月末の会社の財政状態を表す表ですが、その本質は、会社がどこからお金を調達し、そのお金が何に使われ、どのような姿になっているかを表しています。

貸借対照表は、資産の部(借方)と、負債及び純資産の部(貸方)からなります。

資産の部は、会社の資金が今具体的にどのような形で事業に使われているかを示しています。つまり、資金の運用形態を表しています。
一方、負債及び純資産の部は、会社の資金をどこから、どういう方法で調達したかという、資金の調達源泉を示しています。
調達された資金は、会社として何かに使われていることになるので、資金の運用形態と資金の調達源泉は、資金の表裏の関係を表しており、必ず一致します。

もう少し詳しく見てみましょう。


1 資産の部

 資産の部は、大きく流動資産と固定資産に分けられます。
 流動資産は現金や預金、近い将来現金化する売掛金や棚卸資産が計上されます。

 会社の営業活動の流れに沿って資金の変化を見てみると、

 「現金預金→棚卸資産の購入→販売して売掛金が計上→売掛金が回収されて現金預金へ」

 という流れを繰り返すことで、利益を増やしながら資金が循環しています。

 つまり、流動資産は、資金が営業サイクルの中でいまどのような形になっているかを示すものと言えます。

 したがって、例えば売掛金が多すぎる場合などは、回収に問題が生じていることが分かったり、棚卸資産が多すぎる場合などは、販売がうまく行かず在庫が溜まっていることがわかり、そこで資金の流れが滞っていることが分かるわけです。

 固定資産は、資金が建物や機械装置、車両などに使われたことが示されています。
 これらの資産は、長期に渡って事業に使用され、売上の獲得に寄与していきます。そこで、これらの固定資産を取得にかかったお金を、その使用期間に渡って費用に計上していくということをします。これを減価償却といいます。なお、土地は価値が目減りしないという理由で、減価償却は行いません。

 固定資産を見るときのポイントは、その資産が売上収益の獲得に本当に寄与しているか?という目で見ることです。
 例えば、稼働していない工場や営業所は、売上収益の獲得には寄与していませんので、これらは、資産というよりは将来の損失になる可能性があるわけです。
 ただし、遊休土地は価格が上昇していて一財産になっていることがあります。この場合は、財産として考えることになります。


2 負債の部

 負債の部は、流動負債固定負債に分けられます。
 流動負債は、買掛金や支払手形のように、通常の営業サイクルのなかで発生するものの他に、未払金や短期借入金のように短期的に支払期限が来るものが含まれます。
 資金繰りの様子を読み取る指標に流動比率があります。これは、流動資産と流動負債の比率をいい、一般に1.5から2以上(流動資産が流動負債の1.5倍から2倍以上あること)あると資金に余裕がある状態といわれています。
 逆に1倍を切ると、資金繰りが苦しいということがわかります。

 固定負債は、返済期限が1年を超えて来るような借入金などをいいます。通常は銀行借入金などです。


3 純資産の部

 純資産の部は、株主が出資したお金である資本金や準備金の他、会社が稼いだお金の蓄積である利益剰余金などです。負債が返済義務のあるお金であるのに対し、純資産は返済義務が無い会社のお金ということができます。
 純資産の部をみると、会社の過去の業績がわかります。


 貸借対照表を見る上でのいくつかのポイントをご紹介してきましたが、ここで挙げたもの以外にも多くの着眼点があります。貸借対照表は、その会社の何をみたいか、ということをしっかり意識しながら読むと、大変多くの情報が含まれている有益な財務諸表です。

 

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